外国人介護士の採用を検討する中で、「言葉の壁や早期離職などのデメリットが不安」と悩む施設様も多いのではないでしょうか。この記事では、外国人介護士を採用する際に生じやすいデメリットの全体像から、現場での具体的な課題、そしてそれらを乗り越えるための対策までを解説します。事前に課題を把握し、適切な受け入れ体制を整えることで、共に働く大切な仲間として長く活躍してもらうことができます。
外国人介護士採用のデメリット|全体像をつかむ
なぜ日本人採用とは違う課題が生じるのか

外国人介護士の採用に対し、「日本人採用より大変そう」と感じるのには明確な理由があります。
「言葉の壁」だけでなく、「制度面」と「生活面」における外国人財特有の背景が存在するからです。
- 制度面:国が定める「在留資格」と「支援義務」
日本人の採用では労働基準法などを遵守しますが、外国人財の場合はさらに入管法などの厳格なルールが適用されます。特に「特定技能」で受け入れる場合、関係省庁への定期報告や生活支援の実施が施設側に義務付けられます。この日本人採用にはない「継続的な手続きと報告義務」が、施設側の大きな負担となります。 - 生活面:文化・習慣の違いと生活サポートの必要性
役所での手続き、アパート契約、ゴミ出しのルールなど、日本人にとって当たり前の生活ルールも、来日直後の外国人財には初めてのことばかりです。現場での技術指導に加えて、「日本での生活基盤」を整える幅広いサポートまで施設が担うため、現場スタッフだけで対応すると想像以上の労力がかかります。
このように「制度の複雑さ」と「生活支援の幅広さ」があるため、日本人と同じ感覚で受け入れると、双方にすれ違いが生じやすくなります。
しかし、この違いを理解し、自施設で抱え込まず専門機関を頼ることで課題はクリア可能です。適切な支援により、彼らは施設に新しい活力をもたらす素晴らしい仲間となります。
デメリットの詳細と事業者がやること(対策)
課題1 採用・支援にかかるコストと複雑な手続き
特定技能などの在留資格で外国人介護士を受け入れる場合、日本人採用では発生しない特有のコストや複雑な手続きが課題となります。出入国在留管理庁へのビザ申請に伴う膨大な書類作成に加え、来日後の住居確保、役所手続きの同行、定期面談といった幅広い「生活・就労支援」の実施が法律で義務付けられています。
これらを自社で行うことも制度上は可能ですが、専門知識が必要となり、担当者の通常業務を圧迫するほどの大きな労力(見えないコスト)がかかります。
対策として、国が認定する専門機関(登録支援機関)へ支援業務を委託するのが最も確実です。毎月の委託費用は発生しますが、手続きの遅延や法令違反リスクを防ぎ、母国語による相談対応が可能になります。何より、現場の職員が本来の介護業務や技術指導に専念できるため、安心して長く働いてもらうための必要な「投資」と言えます。
課題2 言葉の壁によるコミュニケーションの不安
現場スタッフが最も不安に感じる「言葉の壁」は、ケアの質や安全性に直結します。一定の日本語テストをクリアしていても、現場で飛び交う専門用語(褥瘡、嚥下など)や「様子を見て」といった曖昧な表現の理解は困難です。表面的な理解によるニュアンスの違いが、ヒヤリハットや重大な伝達ミスを招くリスクがあり、介護記録における読み書きにもハードルがあります。
この課題を乗り越えるには、外国人財の努力だけでなく、受け入れ事業者側の歩み寄りが不可欠です。「配膳して」を「ご飯を運んで」と言い換えるような「やさしい日本語」の活用や、写真・イラストを用いたマニュアルなど視覚的ツールの導入が効果的です。具体的な内容について押さえたい方は「日本語が通じない」は誤解?外国人介護士とのコミュニケーション問題もご覧ください。
また、分からないことを素直に質問できるよう、専属の教育担当者を配置するなど、丁寧に寄り添うフォローアップ体制づくりが重要です。事業者の歩み寄りは、結果的に施設全体の連携強化にも繋がります。
課題3 在留期間の制限と早期離職のリスク

特定技能1号の在留資格で受け入れる場合、「在留期間の制限」とそれに伴う「離職リスク」が課題となります。2026年度時点では、特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。そのため、施設側が長く働いてほしいと望んでも、期限を迎えれば帰国を余儀なくされます。また、特定技能は同一業種内であれば転職が可能なため、より良い待遇やキャリアアップの機会を求めて、他施設へ早期に離職してしまうリスクも存在します。
この課題への有効な対策が、「介護福祉士取得支援」をはじめとする中長期的な定着支援です。外国人財が介護福祉士の国家資格を取得できれば、在留資格を「介護」へ移行できます。これにより在留期間の更新上限がなくなり、日本での永続的な就労や家族の帯同が可能になります。資格取得に向けた学習時間の確保や費用補助など、事業者が明確なキャリアパスを示し寄り添うことが、優秀な人材の定着へと繋がります。
外国人介護士の受け入れでよくある失敗・つまずきポイント

受け入れ体制が整わないまま配属してしまう
経営層のトップダウンで採用され、現場への事前説明がないまま配属されるケースは典型的な失敗例です。
現場の日本人スタッフは、相手の日本語スキルや文化、指導方針も分からないまま、「忙しいのにどう教えればいいか」と大きな負担と不満を抱えます。一方の外国人財も、誰に頼ればいいか分からず放置状態となり、「歓迎されていない」と孤独感を深めてモチベーションを失います。
双方が不満を溜めた結果、人間関係のトラブルや早期離職に繋がります。これを防ぐには、配属前に現場へ人物像や指導方針を丁寧に共有し、専属の教育担当を配置するなど、現場全体を巻き込んだ「受け入れの土壌づくり」が不可欠です。
生活面のサポートに手が回らず孤立させてしまう
外国人介護士が来日して働く際、住居の手配や役所での住民手続き、銀行口座の開設、ライフラインの契約など、多岐にわたる生活支援が必要となります。これらのサポートを現場の職員が通常業務と兼任しようとすると、日々の忙しさから対応が後手に回ってしまうケースが少なくありません。
その結果、言葉も文化も違う環境で、外国人財は「ゴミ出しのルールが分からない」「体調が悪いのに病院の行き方が分からない」といった生活上のトラブルを一人で抱え込みます。こうした業務外での不安や孤独感は、仕事への意欲低下や早期離職に直結します。自社だけで抱え込まず、外部の専門機関を活用するなど、無理のない支援体制の構築が必要です。
書類不備や更新忘れで在留資格が継続できない
外国人介護士の雇用では、出入国在留管理庁や厚生労働省が定める煩雑な手続きがつきものです。特に特定技能の場合、定期的な支援状況の報告や、厳格な期限付きの在留期間更新手続きが義務付けられています。
担当者の業務過多などで書類不備や更新忘れが発生すると、在留資格が失効し、最悪の場合は不法就労として帰国を余儀なくされます。施設側も罰則を受ける重大なリスクがあるため、専門機関を活用した徹底した期限管理が不可欠です。
デメリットを乗り越えるための対策とコツ
現場全体で「共に働く仲間」として寄り添う姿勢
外国人介護士を「人手不足を補うための単なる労働力」として扱ってしまうと、その空気は必ず本人に伝わり、早期離職の原因となってしまいます。受け入れに成功している施設に共通しているのは、現場全体が「共に働く仲間」として温かく迎え入れ、寄り添う姿勢を持っていることです。
業務の指示だけでなく、日々の挨拶や些細な雑談を通してコミュニケーションを図り、彼らの母国の文化や習慣にも関心を持つことが大切です。言葉の壁に戸惑うことがあっても、焦らず丁寧に指導し、小さな成長を認めて褒める。こうした日々の積み重ねによる信頼関係の構築こそが、外国人財の安心感を生み、結果として高い定着率へと繋がっていくのです。
外部の専門サポート機関を上手く活用する
外国人介護士の受け入れには、複雑な在留資格の手続きや、住居手配などの生活支援、日本語学習のサポートなど、多岐にわたる業務が発生します。これらを施設内のスタッフだけで抱え込もうとすると、現場の負担が限界を超え、本来の介護業務に支障をきたしてしまいます。
成功している施設は、自社ですべてを行おうとせず、登録支援機関などの外部の専門サポート機関を上手く活用しています。プロに煩雑な手続きや生活支援を任せることで、現場の職員は「介護技術の指導」や「日々のコミュニケーション」に専念できます。結果として、現場の負担を大幅に削減しつつ、外国人財にとっても安心できる受け入れ体制を構築できるのです。
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まとめ
外国人介護士の採用には、言葉の壁、在留資格手続きの複雑さ、生活面でのサポート負担といったデメリットが伴うのは事実です。しかし、事前の準備と適切なサポート体制があれば、これらの壁は十分に乗り越えられます。
この記事で解説した失敗を防ぐための対策を、以下の要点にまとめました。
- 主なデメリットは3つの壁:言葉の壁、在留資格手続きの複雑さ、生活面でのサポート負担が課題です。
- 在留期間の制限:特定技能1号は通算5年が上限で、期限到達後は帰国を余儀なくされます。
- 早期離職リスク:同業種内で転職が可能であり、より良い待遇を求めて他施設へ移るリスクがあります。
- 対策として登録支援機関の活用:複雑な手続きや生活支援を専門機関に委託し、現場負担を軽減します。
- コミュニケーション対策:「やさしい日本語」の活用や、写真・イラストを用いたマニュアルの導入が効果的です。
- 定着支援の重要性:介護福祉士国家資格の取得支援を行い、在留期間の制限をなくすキャリアパスを示します。
- 受け入れ体制の整備:現場全体で「共に働く仲間」として温かく迎え入れ、丁寧に関わる姿勢が定着率を高めます。
現場のスタッフが「共に働く仲間」として寄り添い、丁寧に関わることで、彼らは施設にとって欠かせない素晴らしい人財へと成長してくれます。自社だけで抱え込まず、外部機関の力も上手く活用しながら、ぜひ前向きに受け入れを検討してみてください。新しい仲間との出会いが、施設のより良い未来を創る大きな一歩となるはずです。
※ 本記事の内容は、2026年7月時点の法令および運用状況に基づいています。最新の情報は、出入国在留管理庁や厚生労働省の公式ウェブサイトをご確認ください。