「夜勤のシフトが埋まらない…外国人の介護士に夜勤を任せることはできるのだろうか?」
施設長の方から、こうした相談を受けることが増えています。夜勤の人手確保は、多くの介護施設にとって切実な課題です。外国人介護士に夜勤を担ってほしい一方で、「制度的に問題はないのか」「緊急時に対応できるのか」と不安を感じるのは当然のことです。
この記事では、外国人介護士の夜勤に関する制度上のルールから、安心して夜勤を任せるための現場の工夫まで、段階的にお伝えします。特定技能「介護」の制度全般については「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。
外国人介護士は夜勤に入れるのか?在留資格別の整理
特定技能「介護」の夜勤ルール
特定技能「介護」の外国人介護士は、制度上、夜勤が可能です。制度上、日本人職員と同じ業務に従事できるため、夜勤も当然その範囲に含まれます。
1人夜勤についても、制度上の一律禁止はありません。ただし、国際厚生事業団(JICWELS)のFAQでは、安全に業務を行えるまでの一定期間は、他の一定の経験のある職員とチームでケアに当たるなど、就労先事業所で順応を支援する体制が求められるとされています。目安として6か月が示されていますが、最終的な夜勤導入の判断は就労先事業所が行います(国際厚生事業団 FAQ)。
技能実習・EPAとの違い
在留資格によって夜勤のルールは異なります。
| 在留資格 | 夜勤の可否 | 単独夜勤の考え方 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 特定技能「介護」 | 可 | 一律禁止ではない | 一定期間は経験ある職員とのチームケア等で順応支援 |
| 技能実習「介護」 | 可 | 不可 | 技能実習生以外の介護職員と複数名で業務を行う必要がある |
| EPA介護福祉士候補者 | 可 | 慎重運用が必要 | EPA候補者以外の介護職員の配置、または緊急連絡体制の整備が必要 |
| 在留資格「介護」 | 可 | 可 | 介護福祉士資格保有者。日本人と同等の運用が基本 |

特定技能は入職初日から配置基準に算入でき、夜勤にも比較的早い段階で導入しやすい点が大きな特徴です。一方、技能実習は夜勤自体が直ちに禁止されているわけではありませんが、技能実習生以外の介護職員と複数名で業務を行う必要があり、単独夜勤は想定されていません。この違いを踏まえた上で、自施設の体制に合った在留資格を選ぶことが重要です。在留資格ごとの詳しい比較はEPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較で解説しています。
夜勤の配置基準と外国人介護士の算定ルール
施設種別ごとの夜勤配置基準
夜勤の人員配置基準は、施設種別や定員、従来型かユニット型かなどによって細かく異なります。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、短期入所、グループホームなどで基準が分かれているため、実際の運用では厚生労働省告示第29号と各サービスの人員基準通知を施設単位で確認する必要があります(厚生労働省告示第29号)。
2024年度の介護報酬改定では、見守り機器やICTの活用を条件に、一部の夜勤職員配置加算で緩和措置も示されました。テクノロジーの活用と外国人財の配置を組み合わせることで、夜勤体制の安定化を図る施設が増えています。
外国人介護士を配置基準に算入する条件
特定技能「介護」の外国人介護士は、就労開始と同時に配置基準に算入できます。技能実習やEPA介護福祉士候補者とは異なり、配置基準への算入時期に関する優位性がある点は重要です。
ただし、配置基準への算入と1人夜勤は別の話です。算入は初日から可能ですが、1人夜勤については「一定期間のチームケア」が前提です。この区別を正しく理解しておくことが、適切な夜勤シフトの編成につながります。
夜勤時のコミュニケーション対策
夜勤で最も不安視されるのは、緊急時のコミュニケーションです。日中なら周囲に相談できる場面でも、夜勤では判断を委ねられる場面が増えます。だからこそ、事前の準備がものを言います。外国人介護士とのコミュニケーション全般については「日本語が通じない」は誤解?外国人介護士とのコミュニケーション実態で詳しく解説しています。
緊急時対応フレーズ集の整備
夜勤中に起こりうる緊急事態を想定し、対応フレーズをあらかじめ用意しておきます。
| 場面 | フレーズ例 |
|---|---|
| 転倒発見 | 「○○さんが転倒しました。意識はあります/ありません」 |
| 体調急変 | 「○○さんの熱が38度以上です。すぐに看護師に連絡します」 |
| ナースコール対応 | 「○○さん、どうしましたか?痛いところはありますか?」 |
| 救急要請 | 「救急車をお願いします。○○(施設名)です。住所は○○です」 |

フレーズ集はラミネート加工して携帯させるか、休憩室に掲示しておきます。母国語の対訳をつけると、とっさの場面でも落ち着いて対応しやすくなります。
申し送り・記録の工夫
夜勤中の申し送りと介護記録も、工夫次第で負担を軽減できます。
- 申し送りシートの定型化: 「体温」「食事量」「排泄回数」「特記事項」など項目を固定し、数値や選択肢で記入できるようにします
- やさしい日本語での記述: 「嘔吐」ではなく「吐いた」、「褥瘡」ではなく「床ずれ」のように、平易な表現に統一します
- 音声入力の活用: スマートフォンの音声入力機能を使えば、文字を書く負担が減ります
こうした仕組みを整えておけば、日本語力に不安がある段階でも、正確な情報共有が可能になります。
「夜勤のコミュニケーション体制をどう整えればいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。介護現場を知るスタッフが、貴施設の状況に合わせた体制づくりをお手伝いします。
夜勤を導入する段階的な夜勤導入の進め方
外国人介護士に夜勤を任せる際は、段階を踏んで進めることが安心につながります。現場で実績のある3ステップの進め方を紹介します。

3ステップで進める夜勤導入
ステップ1: 日勤での業務習熟(入職〜3ヶ月目)
まずは日勤帯で基本業務を確実に習得してもらいます。身体介護の技術だけでなく、施設のルールや利用者一人ひとりの特性を把握することが目的です。この期間に緊急時対応フレーズの練習や、夜勤業務の見学も組み込みます。
ステップ2: 夜勤の同行期間(3〜6ヶ月目)
日本人の先輩職員と一緒に夜勤に入ります。最初は補助的な役割から始め、少しずつ主担当の業務を任せていきます。巡回の手順、ナースコールへの対応、緊急時の判断と連絡。実際の夜勤環境の中で、一つひとつ確認しながら進めます。
ステップ3: 1人夜勤への移行(6ヶ月目以降)
業務習熟度を確認した上で、1人夜勤に移行します。初めて1人で入る夜は、オンコールで日本人職員にすぐ連絡が取れる体制にしておくと、本人も安心して業務に集中できます。
1人夜勤に移行する判断基準
「いつから1人夜勤を任せてよいか」は、期間だけでなく業務の習熟度で判断します。以下のチェック項目を参考にしてください。
- 緊急時の連絡手順を自分で説明できる
- ナースコールへの対応を一通り1人でこなせる
- 巡回記録を定型シートに漏れなく記入できる
- 利用者の状態変化に気づき、適切に報告できる
- 夜勤中に判断に迷う場面で、自分からオンコールに連絡できる
すべてにチェックがつく状態になってから移行するのが理想です。
ASCareでは、入国前から約4ヶ月間の体系的かつ継続的な教育プログラムを提供しており、日本語・介護知識・実技を段階的に習得できるカリキュラムを構築しているため、夜勤でも活躍できる外国人財を育成しております。
現地オンライン講習や個人学習によるオリジナル介護技術動画の反復教育や、理解度テストの実施をしています。さらに現地校での対面実技指導を含む計130時間に加え、日本生活ルール教育動画40時間を通じて、即戦力となる外国人材の育成を実現しています。定着支援の詳細については外国人介護士の定着率を上げる方法|離職を防ぐ5つの取り組みもご覧ください。
まとめ
外国人介護士の夜勤について、制度と現場運用の両面からお伝えしました。
- 特定技能「介護」の外国人介護士は夜勤が可能。配置基準にも入職初日から算入できます
- 1人夜勤は制度上の一律禁止ではありませんが、特定技能では一定期間のチームケア等を経て、就労先事業所が慎重に判断する運用が基本です
- 技能実習は技能実習生以外の介護職員との複数体制が必要で、EPAも非EPA職員の配置または緊急連絡体制の整備が必要です。在留資格による違いを正しく把握することが大切です
- 緊急時対応フレーズ集や定型化された申し送りシートなど、仕組みで不安を減らせます
- 日勤での業務習熟 → 夜勤同行 → 1人夜勤と、段階的に進めることで安心感が生まれます
夜勤を「外国人だから不安」と考えるのではなく、「どう準備すれば安心して任せられるか」に発想を切り替えること。それが、夜勤体制の安定と現場全体の働きやすさにつながります。丁寧に準備を進めれば、外国人介護士は夜勤の頼れる戦力になります。
参考リンク
- 国際厚生事業団「介護分野の特定技能外国人は夜勤業務を行うことができますか」
- 国際厚生事業団「EPA候補者は夜勤を行うことができますか。」
- 厚生労働省「介護職種について外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則に規定する特定の職種及び作業に特有の事情に鑑みて事業所管大臣が定める基準等」について
- 厚生労働省「夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準」(告示第29号)
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持ち、累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきました。紹介料は無料です。教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で寄り添います。