特定技能の外国人財を受け入れている施設にとって、定期届出は年に一度、必ず向き合う手続きです。四半期ごとの届出が年1回になり、回数は減りました。それでも、1年分の受入れ・活動・支援の状況をまとめて整理するとなると、「何を、どこまで、誰が用意するのか」と迷う担当者の方は少なくありません。特に介護施設は、夜勤や複数の事業所、登録支援機関への委託など、確認したい点が重なりやすいものです。本記事では、出入国在留管理庁が公表している作成要領と提出資料一覧表に沿って、提出期限・書類・記載の注意点を、介護施設の実務に引き寄せて整理しました。義務的支援の全体像は、「特定技能の義務的支援10項目|介護施設の実施ポイント」もあわせてご覧ください。
特定技能の定期届出とは? 年1回・4月から5月に提出
定期届出とは、特定技能外国人を受け入れている機関(特定技能所属機関)が、受入れ・活動・支援の実施状況を、出入国在留管理庁へ年に一度報告する手続きです。使用する様式は、「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)」です。(出入国在留管理庁 特定技能外国人の 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出 (定期届出)作成要領)定期届出に関する注意事項を順番に確認していきましょう。
①対象期間と提出期間(初回と次回)
四半期ごとの届出は、2025年4月15日までに提出する分が最後でした。以降は年1回となり、初回の提出期間は2026年4月1日から5月31日でした。

※提出期間の末日が土日祝日の場合は、翌開庁日が期限となります。次回の欄は、入管庁が示す「対象期間は4月1日〜翌年3月31日、提出は翌年4月1日〜5月31日」というルールにあてはめたものです。
②届け出るのは受入れ機関
届出が届出ができるのは、外国人財を受け入れている特定技能所属機関(受入れ企業)のみです。登録支援機関に支援を委託していても、登録支援機関が代わりに届け出ることはできません。委託している場合は、受入れ機関が委託先の支援実施状況を取りまとめて提出します。
③対象期間中に1日でも受入れがあれば提出が必要
対象期間中に1日でも、特定技能の在留資格を持つ外国人財との雇用契約関係があれば、提出が必要です。実際の就労がない場合も同じです。
届出が適正に行われない場合は、特定技能外国人の受入れができなくなります。だからこそ、期間内に丁寧に準備を進めることが大切です。
④随時届出との違い
随時届出は、雇用契約の変更・終了や支援計画の変更など、事由が生じるたびに必要となる届出です。受入れの継続が困難となった場合は、事由が生じた日から14日以内に届け出る必要があります。年1回の定期届出とは別の手続きとして押さえておきましょう。
定期届出に必要な書類と提出方法

定期届出で提出する書類と、提出方法の違いを、入管庁の提出資料一覧表に沿って整理しました。まずは全体像から確認していきましょう。
共通で提出する書類(届出書・別紙1・別紙2ほか)
定期届出の書類は、すべての受入れ機関に共通するものと、受入れ機関の状況を示す書類の2つに分かれます。まず、共通で提出する書類を1つずつ確認していきましょう。
| 書類名 | 様式 | 作成・提出のポイント |
|---|---|---|
| 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書 | 参考様式第3-6号 |
法人は本社・本店で1法人につき1部作成します。電子届出は画面上で入力するためファイル添付は不要です。 |
| 特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況 | 第3-6号 別紙1 |
支援の実施状況や報酬支払方法を事業所ごとに作成し、本社が取りまとめて添付・提出します。 |
| 受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(署名欄) | 第3-6号 別紙2 |
支援を全部委託している登録支援機関の署名用です。電子届出では署名済み原本のスキャンデータを添付します。 |
| 報酬支払証明書 | 参考様式第5-7号 |
口座振込以外の方法(現金手渡し等)で支払っている場合に限り、対象の外国人財全員分を提出します。 |
| 理由書 | 任意様式 |
提出期限(四半期末の翌月末など)を過ぎてしまった場合や、特異な状況を説明する必要がある場合に提出します。 |
特定技能受入れ機関の状況を示す書類
共通の書類に加えて、受入れ期間の状況を確認するための書類を提出します。「一定の基準」を満たさない場合に必要となる書類は、主に次の通りです。
- 基準適合性に関する誓約書(参考様式第5-17号)
- 特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)
- 中長期在留者の受入れ実績等に関する資料(自社で支援を行う場合)
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 業務執行に関与する役員(個人事業主は本人)の住民票の写し(マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるもの)
- 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(参考様式第1-23号)(業務執行に関与しない役員がいる法人の場合)
- 労働保険料の納付に関する資料(直近1年分)
- 社会保険料の納付に関する資料(届出日の属する月の前々月までの12か月分)
- 納税証明書(その3)(法人の場合は、源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税)
- 法人住民税の納税証明書(直近1年分)
細かな要件は見直されることがあるため、提出前に入管庁の提出資料一覧表特定技能所属機関(受入れ企業・事業主の方)による定期届出提出資料一覧表で、最新の内容を確認してください。「一定の基準」を満たす場合は、これらの書類の一部を省略できます。
電子届出の利用者登録と、郵送・持参の提出先
電子届出を利用するには、事前の利用者登録が必要です。登録の際に「特定技能所属機関」にチェックを入れていないと、定期届出でログインできません。入管庁は、オンラインでの届出方法を解説した動画も公開しています。(出入国在留管理庁 出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト)
郵送または持参で提出する場合の提出先は、法人の登記上の本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局・支局です。届出書は本社・本店で1部を提出するもので、事業所(支店・店舗など)単位で提出するものではありません。
書類をそろえる流れの目安とスケジュール
書類は、取得先や作成のタイミングがそれぞれ異なります。次回(2027年4月1日〜5月31日)の提出に向けて、時期ごとの進め方を整理しました。

※法令上の期限は5月31日(土日祝日の場合は翌開庁日)のみです。以下の日程は、無理なく準備を進めるための目安としてご活用ください。
介護施設が迷いやすい記載のポイント

定期届出書の記載は、細かなルールが多く、迷いやすい部分です。夜勤や複数の事業所がある介護施設で、とくに確認しておきたい4つのポイントを、入管庁の作成要領に沿って整理しました。
報告対象となる外国人財の人数の数え方
届出書には、対象期間に受け入れた外国人財の人数を記載します。受入れ開始日から終了日までのうち、1日でも対象期間に含まれていれば、1名として数えます。期間の途中で新しく受け入れた方も、退職した方も、それぞれ1名です。期間内に契約を終了し、同じ期間内に同じ方を再び雇用した場合も、1名として数えます。
受入れ開始日は、特定技能の在留資格で上陸許可または在留資格変更許可を受けた日が原則です。たとえば5月1日に提出する場合、同じ年の4月1日以降に許可を受けた方は、その届出の対象には含めません。
労働条件等は月平均で(夜勤のある施設は集計の考え方を決める)
届出書では、実労働日数・所定内実労働時間・超過実労働時間・きまって支給する現金給与額・控除額を、月平均で記載します。いずれも小数点第1位を四捨五入し、整数で記入します。
- 月の途中で受入れを開始、または終了した月は、平均の計算から除きます
- 休業日があった月は、平均に含めます
- 賞与・期末手当等は、支払われた外国人財の人数で割った平均額を記載します
- 雇用期間が対象期間内で1か月未満の場合は、0を記入し、備考に「1か月未満」と記載します
夜勤や変則勤務の多い介護施設で、特に確認したいのが超過労働給与額です。入管庁の作成要領では、よくある間違いとして、時間外手当を割増し分だけで記載してしまうことと、所定労働時間内の深夜労働を超過労働給与額に含めてしまうことが挙げられています。給与計算の担当者と、記載の考え方を事前にそろえておくと安心です。
複数の事業所は、本社で1部にまとめる
複数の事業所で外国人財を受け入れている法人は、届出書を事業所ごとに作成・提出せず、本社が1部にまとめて提出します。一方、別紙1は事業所ごとに作成し、本社がすべてを取りまとめて添付します。複数のサービス事業所や施設を運営する法人では、事業所の担当者と本社の役割をあらかじめ決めておきましょう。
昇給率は、2年以上継続して受け入れている場合のみ
昇給率は、届出書を作成する年度の4月1日時点で、同じ所属機関・同じ在留資格で2年以上継続して受け入れている外国人財がいる場合に記載します。小数点第2位を四捨五入し、第1位まで記入します。昇給がなかった場合は「0%」と記載し、「100%」や「105%」のように記入しないよう注意してください。
登録支援機関に委託している場合の分担

登録支援機関に委託している場合も、届出を行うのは受入れ機関です。委託の範囲によって、記載のしかたが変わります。
全部委託の場合
委託先の登録支援機関から支援の実施状況を受け取り、取りまとめて提出します。別紙1の「支援の実施状況」は、委託先と情報を共有して作成します。委託先から支援の状況が届出のために提出されない場合、登録支援機関の登録が取り消されることがあると、入管庁は示しています。いつ・どの形式で支援実施状況を受け取るのかを、あらかじめ決めておくことをおすすめします。
一部だけ委託している場合
届出書の「支援の実施状況」では、「自社支援のみ」を選びます。複数の外国人財を受け入れていて、1人でも支援の全部を委託している方がいる場合は、「支援の全部委託あり」を選びます。
委託先が複数ある場合
複数の登録支援機関に支援を全部委託している場合は、すべての委託先の署名を受けた別紙2を添付します。電子届出では、署名を受けた別紙2をスキャンし、データで添付します。別紙2の提出漏れは多いとして、入管庁も注意を呼びかけています。
年度の途中で委託先を変更・自社支援に切り替えた場合
対象期間の途中で委託先を変更した場合や、自社支援に切り替えた場合は、それぞれの期間の支援実施状況を受入れ機関が取りまとめ、1年分として提出します。たとえば7月に委託先を変え、10月に自社支援へ切り替えた場合は、4月から7月までは前の委託先、7月から10月までは新しい委託先、10月以降は自社の支援実施状況を記載します。委託先の見直しを考えている場合は、「登録支援機関の選び方|失敗しないための5つのチェックポイント」も参考にしてください。
定期届出に必要な支援の記録の整え方や、委託先との役割分担でお悩みの場合は、まずは現状をお聞かせください。介護事業を50年以上続けてきた経験をもとに、現場に寄り添ってご相談をお受けします。
定期届出の提出前チェックリストと、入管庁が注意するよくある誤り
提出の直前に慌てないよう、入管庁が注意を呼びかけている点と、自社・委託先で確認したい点を整理しました。
入管庁が注意を呼びかけている4つの誤り
- 別紙2の提出漏れ: 複数の登録支援機関に支援を全部委託している場合は、すべての委託先の署名を記載して提出します
- 登録支援機関による届出: 定期届出を行えるのは特定技能所属機関のみです。委託していても、登録支援機関は届け出られません
- 郵送・窓口での書類省略: 提出書類の省略は、オンラインで届け出る場合に限られます
- 電子届出の利用者登録: 「特定技能所属機関」にチェックを入れていないと、ログインできません
自社向けチェックリスト(提出前の確認)
委託先への確認ポイント
次回(2027年4〜5月)に向けた準備の目安
次回の対象期間(2026年4月〜2027年3月)は、すでに半ばを過ぎています。年度末にまとめて集計するのではなく、次の3ステップで進めると、無理なく準備できます。
- 毎月: 労働日数・時間・給与・賞与等を、月ごとに記録しておく
- 3月末: 対象期間が終わったら、受け入れた人数と支援の実施状況を確定する
- 4月1日〜5月31日: 書類をそろえ、電子届出で提出する(利用者登録は、早めに済ませておくと安心です)
定期届出は、1年間の支援を日々丁寧に積み重ねてきたことの記録でもあります。ASCare(アスケア)では、生活・仕事・学習・感情の4つの面から、介護経験のあるスタッフが外国人財に寄り添う定着支援を行っています。日々の支援を現場の実態に沿って積み重ねることが、届出の正確さにもつながると考えています。
まとめ
定期届出は、年に一度、1年間の特定技能受入れ・活動・支援の状況を整理して報告する手続きです。要点を振り返ります。
- 提出期間は、対象年度の翌年度の4月1日〜5月31日。次回は2027年4月1日〜5月31日
- 届け出るのは受入れ機関で、登録支援機関は代わりに提出できない
- 添付書類の省略は、一定の基準を満たし、オンラインで届け出る場合のみ
- 夜勤の給与の扱い、複数事業所の取りまとめ、昇給率は、介護施設で迷いやすい
- 委託している場合は、支援実施状況を受け取る手順を委託先と決めておく
ASCare(アスケア)は、紹介会社ではなく、訪問入浴介護を50年以上手がけてきた介護事業者です。だからこそ、制度の説明だけでなく、現場で本当に必要な支援の形をご提案できます。毎月の記録を丁寧に積み重ねることが、年度末の安心につながります。定期届出や支援の進め方に迷ったときは、紹介料0円のASCareに、まずは無料の資料請求からお気軽にご相談ください。
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