特定技能の外国人介護士を受け入れるとき、避けて通れないのが「登録支援機関」の選定です。
支援業務の委託先をどこにするかは、外国人財の定着率に直結します。しかし、全国の登録支援機関は1万件を超えており、出入国在留管理庁の登録簿でも随時更新されています(出入国在留管理庁 登録支援機関登録簿)。その分、質や対応力にはばらつきがあるのが実情です。
この記事では、介護分野で登録支援機関を選ぶ際に確認すべき5つのポイントと、費用の相場、委託と自社支援の判断基準を整理しました。受け入れ手続きの全体像については「外国人介護士の採用フロー|募集から入職までの7ステップ」もあわせてご覧ください。
登録支援機関とは何か
制度上の役割
登録支援機関とは、特定技能1号の外国人を受け入れる事業者に代わって、外国人への支援業務を行う機関のことです。出入国在留管理庁に登録された個人または団体が務めます(出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」)。
特定技能1号の外国人を雇用する事業者は「1号特定技能外国人支援計画」を策定し、実施する義務があります。この支援業務のすべてを登録支援機関に委託することもできますし、一部だけ委託することもできます。特定技能制度の基本については「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
義務的支援10項目の一覧
登録支援機関が受け入れ事業者に代わって行う支援は、出入国在留管理庁が定める以下の10項目です。
| 番号 | 義務的支援 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 事前ガイダンス | 雇用契約の内容、入国手続き、日本での生活に関する情報提供 |
| 2 | 出入国時の送迎 | 空港から住居までの送迎、帰国時の空港への送迎 |
| 3 | 住居確保・生活に必要な契約支援 | 住居の探索・契約同行、連帯保証人の確保、銀行口座の開設等 |
| 4 | 生活オリエンテーション | 日本のルール・マナー、公共交通、医療、防災、届出の説明 |
| 5 | 公的手続きへの同行 | 住民登録、社会保険、税金などの届出への同行・書類作成補助 |
| 6 | 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室や教材の紹介、学習の機会の確保 |
| 7 | 相談・苦情への対応 | 職場や生活上の悩みについて、母国語で相談できる体制の整備 |
| 8 | 日本人との交流促進 | 地域の行事や交流会への参加機会の提供 |
| 9 | 転職支援(非自発的離職の場合) | 受け入れ先の都合で雇用契約が解消される場合の転職先探し |
| 10 | 定期的な面談・報告 | 外国人本人と直属の上司への3ヶ月ごとの面談、入管への定期届出 |

(出典: 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」)
この10項目を適切に実施しなければ、入管から指導や改善命令を受ける可能性があります。だからこそ、委託先の質が重要になるのです。
登録支援機関の選び方|5つのチェックポイント

1万件超の登録支援機関の中から、介護分野で信頼できるパートナーを見極めるためのポイントを5つにまとめました。
①介護分野の支援実績
登録支援機関は業種を問わず登録できるため、飲食業や製造業の支援が中心で、介護分野の経験が乏しい機関も少なくありません。介護は利用者の生命にかかわる仕事です。夜勤の体制、記録の書き方、利用者との接し方など、介護特有の課題を理解している機関を選ぶことが重要です。
確認すべき点は、介護施設への紹介実績件数と、支援している外国人財の在籍数です。「何人支援しているか」だけでなく、「介護分野で何年の実績があるか」も確認しましょう。
②母国語での対応力
外国人財が困ったとき、母国語で相談できるかどうかは定着率に直結します。日本語がまだ十分でない段階では、職場の悩みも生活の困りごとも、母国語でなければ正確に伝えられません。
ミャンマー語、インドネシア語、ベトナム語など、受け入れる人財の出身国に合わせた言語対応ができるか、事前に確認しておきましょう。「通訳を外注している」のか「自社スタッフが対応できる」のかでは、対応のスピードと精度が変わります。
③費用の透明性
「月額いくら」だけでなく、初期費用や追加料金の有無、どこまでが含まれるのかを明確にしている機関を選びましょう。契約後に「面談は別料金」「夜間対応は追加費用」と言われるケースもあります。
見積もり段階で費用の内訳を書面で提示してくれるかどうかは、信頼できる機関かどうかを見極める一つの基準です。費用の詳細は後述の「委託費の相場と内訳」で解説します。
④緊急時の対応体制
介護施設は24時間365日稼働しています。外国人財がケガや体調不良で緊急搬送される場面、近隣とのトラブルが起きる場面は、夜間や休日に発生することもあります。
「平日の営業時間内のみ対応」では、現場は不安を抱えたままです。緊急連絡先があるか、夜間・休日でも母国語で対応できる人がいるか、契約前に確認してください。
⑤定着支援の質
義務的支援の10項目は「最低限やるべきこと」です。定着率を高めるには、その先の支援が必要になります。
具体的には、日本語学習の継続サポート、介護福祉士資格取得に向けた学習支援、同国出身者との交流機会、キャリアパスの提示などです。「届出と面談だけ」の機関と、「外国人財が成長し続けられる環境をつくる」機関とでは、3年後・5年後の定着率に差が出ます。外国人介護士の定着率を高める取り組みについては「外国人介護士の定着率を上げる方法|離職を防ぐ5つの取り組み」で詳しくまとめています。
累計3,000人以上の外国人材受け入れ実績があるASCareは、ミャンマー・インドネシア・ベトナムに海外拠点をおいているため受け入れる人財の出身国に合わせた言語対応可能です。また、外国人財の生活・仕事・学習・感情の4つの軸で定着支援を行っているため外国人材の定着率の支援につながります。
登録支援機関への委託費の相場と内訳
月額費用の目安
登録支援機関への支援委託費は、特定技能外国人1人あたり月額2万〜3.5万円が一般的な相場です。登録支援機関の約7割が月額1.5万〜3万円の価格帯に集中しているというデータもあります(MEIKOGLOBAL「登録支援機関にかかる費用相場」2025年)。
ただし、安さだけを基準とした選び方をしてしまうと支援の質が伴わず、結果的に外国人財の離職につながることがあります。費用と支援内容のバランスを見ることが大切です。
初期費用の項目
月額の委託費に加えて、以下の初期費用が発生する場合があります。
- 人財紹介手数料: 年収の20〜35%程度が目安(紹介会社を兼ねる場合)
- 支援計画策定費: 3〜5万円程度
- 在留資格申請の書類作成代行費: 10〜20万円程度(行政書士への依頼含む)
人財紹介と登録支援を別々の機関に依頼するのか、同一の機関にまとめるのかでもかかる費用が変わります。採用にかかる費用の全体像は「特定技能「介護」の採用費用は?紹介料・支援費の相場を解説」で詳しく整理しています。
「費用や支援内容について、もう少し具体的に知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。貴施設の状況に合わせた支援プランをご提案します。
選び方で変わる|自社支援と委託

支援業務を自社で行うか、登録支援機関に委託するか。それぞれにメリットとデメリットがあります。
自社支援のメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 委託費がかからない。外国人財との距離が近く、細やかな対応がしやすい |
| デメリット | 支援計画の策定・実施・届出すべてを自社で行う必要がある。入管対応や母国語での相談体制を社内で整備するのはハードルが高い |
自社支援を選ぶ場合、過去2年以内に特定技能外国人の受け入れ実績がある、または生活相談員の配置など一定の要件を満たす必要があります。初めて受け入れる施設では、この要件を満たせないケースが多いです。
登録支援機関へ委託するメリット・デメリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 支援業務の大部分を任せられる。入管への届出・面談・生活支援の負担が軽減される。母国語対応も委託先が担う |
| デメリット | 月額の委託費が発生する。委託先の質によっては「形だけの支援」になるリスクがある |
初めて特定技能の外国人財を受け入れる施設は、まず委託からスタートし、ノウハウが蓄積された段階で自社支援への切り替えを検討するのが現実的な進め方です。
こんな登録支援機関は避けたい|失敗事例に学ぶ
登録支援機関を選び直す施設の話を聞くと、共通するパターンがあります。選び直すことになるとさらに手間と費用がかかってしまうことになりかねません。未然に防げるように事例を見ていきましょう。
介護の現場を知らない機関
「飲食業や製造業の支援はしているが、介護は初めて」という機関に委託した結果、外国人財が夜勤のストレスや利用者対応の悩みを相談しても的確な助言がもらえなかった、というケースがあります。介護の仕事は身体介助、認知症ケア、看取りなど精神的な負荷が大きい場面があります。介護現場を理解している支援者でなければ、外国人財の不安に寄り添うことは難しいのです。
面談が形骸化している機関
3ヶ月に1回の定期面談は義務ですが、「10分程度の電話で終わり」「チェックリストに印をつけるだけ」という機関もあります。形だけの面談では、外国人財の本音は出てきません。
信頼できる機関は、面談を通じて外国人財の変化に気づき、問題が大きくなる前に対処します。面談の実施方法(対面か、オンラインか、母国語で行うか)を契約前に確認することをお勧めします。
不安の解消法について全体的に知りたい方は「外国人介護士の受け入れが不安な施設長へ|よくある5つの不安と解決策」の記事もご覧ください。
まとめ
登録支援機関の選び方について、5つのチェックポイントを整理しました。
- 介護分野の支援実績がある機関を選ぶ。業種を問わない汎用的な支援では、介護特有の課題に対応しきれません
- 母国語で相談できる体制があるかを確認する。外国人財の本音を引き出すために不可欠です
- 費用は月額だけでなく、初期費用や追加料金の有無まで書面で確認する
- 緊急時に夜間・休日でも対応できる体制があるかどうかは、介護施設にとって大きな安心材料です
- 義務的支援の10項目は最低ライン。その先の定着支援の質で、外国人財の長期活躍が変わります
全国に1万件超ある登録支援機関の中から、信頼できるパートナーを見つけることは簡単ではありません。しかし、この5つのポイントを基準にすれば、失敗のリスクは大きく下げられます。外国人財が安心して働き続けられる環境を、確かな支援体制で支えていきましょう。
参考リンク
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持つ登録支援機関です。支援スタッフには介護現場の経験者を配置し、外国人財の生活・仕事・学習・感情の4つの軸で定着支援を行っています。人財の紹介料は無料。教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で寄り添います。