「特定技能って、結局どんな制度なんだろう…?」「うちの施設でも外国人を受け入れられるのか知りたい」——そんな疑問を持つ介護事業者の方は、少なくありません。
介護現場の人手不足は年々深刻さを増しています。厚生労働省の推計によれば、2040年度に必要な介護職員数は約272万人。現状のペースでは約57万人が不足する見込みです(厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」2024年7月公表)。
こうした状況のなか、外国人介護人財の受け入れに関心を持つ事業者が増えています。中でも「特定技能」は、即戦力として現場に入れる在留資格として注目を集めています。
この記事では、特定技能「介護」の制度内容・受け入れ条件・業務範囲・今後の制度変更まで、初めて検討する方にもわかるよう丁寧に整理しました。
外国人人財の活用全般についてまず全体像を知りたい方は「【完全ガイド】介護現場での外国人人財活用:まずは抑えるべき外国人人財活用の基本」
特定技能「介護」とは何か
特定技能「介護」制度の目的と背景
特定技能は、深刻な人手不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格です。当初は14分野でしたが、2024年3月の閣議決定で16分野に拡大されました。「介護」は創設当初から対象に含まれています。
従来の技能実習制度が「技術移転による国際貢献」を建前としていたのに対し、特定技能は最初から「労働力の確保」を目的として設計されています。受け入れ側にとっては、確かな技能を持った人財を戦力として迎え入れられる制度です。
2026年1月時点で、特定技能「介護」の在留者数は約5万5,700人に達しています(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」)。受入れ見込数の上限126,900人に対し、すでに50%を超えました。
他分野では、上限到達による受付停止がすでに起きています。特定技能「外食業」は受入れ見込数50,000人に達する見込みとなり、2025年4月13日以降、在留資格認定証明書の新規受付が停止されました(出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数等について」)。枠が埋まれば、どれだけ優秀な人財がいても新規の受け入れができなくなります。
介護分野も同じペースで増え続ければ、数年内に上限に近づく可能性があります。受け入れを検討している事業者にとっては、早めに動き出すことが大切です。
特定技能1号と2号の違い
特定技能には1号と2号があります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年 | 上限なし(更新可) |
| 家族帯同 | 不可 | 可能 |
| 日本語要件 | N4相当以上 | 要件なし(1号からの移行) |
| 介護分野 | 対象 | 対象外 |
2023年6月に特定技能2号の対象分野は11分野に拡大されましたが、介護分野は対象外です。介護には別のステップアップの道が用意されています。1号で最長5年働いた後、介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」に切り替えが可能です。在留期間の上限がなくなり、家族帯同も認められるため、長期にわたって共に働き続ける道が開かれています。

受け入れの条件 — 事業所側・外国人側それぞれの要件
特定技能「介護」の受け入れで事業所が満たすべき条件
特定技能「介護」で外国人財を受け入れるには、事業所が以下の条件を満たす必要があります。
- 介護福祉士国家試験の実務経験の対象となる施設であること
- 「1号特定技能外国人支援計画」を策定し、支援を実施できる体制があること(自社で行うか、登録支援機関に委託)
- 外国人と同等以上の報酬を支払うこと
- 社会保険・労働保険に加入していること
訪問系サービスについては、2025年4月に一部解禁されましたが、追加の要件が設けられています(後述)。
外国人が満たすべき条件
外国人側に求められるのは、以下の試験への合格です。
- 介護技能評価試験 — 介護の基本知識・技術を問う試験
- 日本語試験 — 日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト合格
- 介護日本語評価試験 — 介護現場で使う日本語の理解度を測る試験
「N4」は日常的な日本語がある程度理解できるレベルです。「おはようございます」「体を起こしますね」といった声かけは問題なくできる水準にあたります。
4つの取得ルート
特定技能「介護」の在留資格を得る方法は4つあります。
- 試験合格ルート — 上記3つの試験に合格する(最も一般的)
- 技能実習からの移行 — 介護分野の技能実習2号を修了する
- 介護福祉士養成施設ルート — 養成施設を卒業する
- EPAルート — EPA介護福祉士候補者として4年間在留した後に移行する

どのルートでも、一定の介護技能と日本語能力が担保される仕組みです。各ルートの違いや自施設に合った選び方は「EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較」で詳しくまとめています。
大切なのは、受け入れ前の段階で基礎がしっかり身についていること。紹介元の教育体制を見極めることが、受け入れ成功の第一歩です。
特定技能「介護」で任せられる業務の範囲
特定技能「介護」で対象となる業務内容
特定技能「介護」の外国人財が従事できるのは、身体介護を含む介護業務全般です。具体的には以下のような業務が該当します。
- 入浴・食事・排泄の介助
- 機能訓練の補助
- レクリエーションの実施
- 記録の作成
- 夜勤(人員配置基準を満たす範囲で可能)
日本人職員と同じ業務を任せられるため、人員配置基準上の「介護職員」としてカウントできます。これは技能実習にはないメリットです。配置基準に初日から算入できる——現場の即戦力として、安心して受け入れられる仕組みが整っています。
2025年4月からの訪問介護解禁
2025年4月、特定技能「介護」の訪問系サービスへの従事が一部解禁されました。従来は施設系サービスに限られていましたが、訪問介護・訪問入浴などでも受け入れが可能になっています。
ただし、以下の追加要件があります。
- 訪問介護員初任者研修以上の修了
- 事業所による一定期間の同行訪問
- キャリアアップ計画の策定
訪問系の人手不足に悩む事業者にとっては大きな前進ですが、丁寧な準備が欠かせません。
外国人介護人財の受け入れに興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない — そう感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ASCareでは、受け入れに関する無料相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
受け入れのメリットと注意点
メリット — 即戦力として働ける、在留期間が長い
特定技能「介護」で外国人財を採用する主なメリットは3つあります。
① 人員配置基準にカウントできます
特定技能の外国人財は介護職員として配置基準に算入できます。夜勤も含め、日本人と同等のシフトに入れるため、現場の体制を確かなものにできます。
② 最長5年、さらにその先の道があります
1号で5年、その後介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」に切り替え可能です。長く共に働き続けられる可能性が広がります。
③ 一定の技能・日本語力が保証されています
試験合格が前提のため、受け入れ時点で介護の基礎知識と日本語力(N4以上)が備わっています。
注意点 — 支援体制の整備、日本語の継続学習
一方で、受け入れ側が意識しておくべき点もあります。
支援計画の策定が必要です
1号特定技能外国人には、生活・職業・日本語学習に関する支援を提供する義務があります。自社で対応が難しい場合は、登録支援機関に委託するのが一般的です。
日本語力の継続的な向上が定着のカギになります
N4レベルで入職した場合、介護記録の作成やご利用者のご家族との会話にはまだ苦労する場面があります。入職後も日本語学習を続けられる環境を整えることが、現場に根づくための大切な土台になるのです。
ある介護施設では、来日前に介護特化の日本語を徹底的に学んだミャンマー出身の特定技能人財が、入職わずか3ヶ月で夜勤を任されるほどの早期戦力化を実現しました。
さらに半年後には利用者様から名前で呼ばれるほど深い信頼関係を築いており、円滑なコミュニケーションが定着につながっています。
ASCareでは、来日前に最大6ヶ月の教育期間を設け、介護技術と日本語を習得した状態でご紹介する「即戦力育成型」の仕組みを採用しています。入職後も介護現場経験のあるスタッフが、生活・仕事・学習・感情面の4つの軸で定着支援を行っています。
累計3,000人以上の受け入れ実績から築いた、こうしたノウハウの蓄積がASCareの強みです。
「受け入れに興味はあるが、何が不安なのかを整理したい」という方は、「外国人介護士の受け入れが不安な施設長へ|よくある5つの不安と解決策」もあわせてご覧ください。
2027年の育成就労制度で何が変わるか
技能実習制度からの移行スケジュール
2027年から、現行の技能実習制度に代わる「育成就労制度」がスタートする予定です。

育成就労制度は、技能実習の「国際貢献」という建前を改め、「人財確保と育成」を正面から目的に据えた制度です。一定期間の就労を通じて介護技能と日本語を段階的に身につけ、特定技能1号への移行を目指す仕組みになります。
特定技能「介護」への新たな接続ルート
育成就労制度の修了者は、特定技能1号「介護」への移行がよりスムーズになる見込みです。技能実習からの移行と比べ、制度設計の段階から特定技能との接続が意識されています。
介護事業者にとっては、「育成就労で育てて、特定技能で戦力化し、介護福祉士取得で長期定着へ」という一貫したキャリアパスを外国人財に提示できるようになります。計画的に人財を育て、現場に根づいてもらう。その道筋がより明確になります。
制度の詳細は今後の政省令で確定するため、最新情報の確認をおすすめします。
まとめ
- 特定技能「介護」は、人手不足対応を目的に2019年に創設された在留資格。即戦力として配置基準にカウントできます
- 取得ルートは試験合格・技能実習移行・養成施設・EPAの4つ。いずれも一定の技能と日本語力が保証されています
- 2025年4月から訪問介護が一部解禁。対象範囲は拡大傾向にあります
- 2027年の育成就労制度により、特定技能への人財供給ルートがさらに整備されます
- 受け入れ成功のカギは、入職前の丁寧な教育と入職後の定着支援です
外国人財の受け入れは、人手不足を一時的に補うためだけの取り組みではありません。異なる文化や価値観を持った仲間と共に働き、支え合える現場をつくる。その先に、10年後も安心して続けられる介護の未来があります。
ASCareは介護事業50年以上の知見を持ち、紹介料無料で外国人介護人財をご紹介しています。来日前の教育から定着支援まで一気通貫で対応いたします。まずはお気軽にご相談ください。