「制度が複雑でよくわからない」「どの在留資格を選べばいいの?」「うちの施設にはどれが合っているの?」――外国人介護人財の受け入れを検討するなかで、こうした疑問を抱える事業者の方は少なくありません。
外国人介護人財を受け入れるルートは、EPA、技能実習、特定技能、在留資格「介護」の4つです。それぞれ目的も条件も異なるため、制度の違いを正しく理解することが欠かせません。この記事では、4つの在留資格を「コスト」「即戦力度」「長期定着」の3軸で比較し、自施設に合った制度の選び方を整理していきます。

外国人人財の活用全般についてまず全体像を押さえたい方は「【完全ガイド】介護現場での外国人人財活用:まずは抑えるべき外国人人財活用の基本」の記事も要チェックです。各制度の基本を先に知りたい方は「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」をご覧ください。
結論:事業所タイプ別おすすめ早見表
| こんな施設なら | おすすめの制度 | 理由 |
|---|---|---|
| 初めて外国人を受け入れる | 特定技能 | 初日から配置基準に算入でき、即戦力として現場を支えられる |
| じっくり育てて長く働いてほしい | EPA or 技能実習→特定技能 | 研修が手厚く、同一施設で信頼関係を積み重ねられる |
| 介護福祉士を持つ人財を採用したい | 在留資格「介護」 | 在留期限なし・家族帯同可で最も安定した就労が可能 |
外国人介護人財を受け入れる4つの在留資格
4つの在留資格の全体像を一覧表で把握する
まず、4つの制度の全体像を表で押さえておきましょう。
| 項目 | EPA | 技能実習 | 特定技能 | 在留資格「介護」 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 制度の目的 | 経済連携 | 技術移転(国際貢献) | 人財確保 | 専門的就労 | EPAは経済連携協定、技能実習は技能移転 |
| 対象国 | インドネシア・フィリピン・ベトナム | 制限なし | 制限なし | 制限なし | EPAは3国限定 |
| 在留期間 | 最長4年 | 最長5年(1号~3号) | 最長5年(1号) | 上限なし(更新可) | 特定技能2号は上限なし、介護は永続 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 不可(介護は2号対象外) | 可 | 介護資格者は家族帯同可 |
| 日本語要件 | N3~N5(国により異なる) | N4相当 | N4以上 | なし(福祉士資格が前提) | EPAはN3以上推奨、介護は資格が前提 |
| 配置基準への算入 | 6ヶ月経過後 | 不可 | 可(初日から) | 可 | 特定技能は初日から算入可能 |
| 訪問系サービス | 不可 | 不可 | 2025年4月~一部可 | 可 | 特定技能は初任者研修+実務1年以上で一部可 |
| 転職 | 原則不可 | 原則不可 | 可(同一分野内) | 自由 | 特定技能は同一分野内での転職可 |
4つの制度はそもそも目的が違う
見落とされがちですが、4つの制度はそもそもの目的が異なります。
- EPA・技能実習: 建前上は「労働力確保」ではありません。EPAは二国間の経済連携、技能実習は途上国への技術移転が目的です
- 特定技能: 最初から「人手不足への対応」を目的としています。即戦力として現場で活躍してもらうことを制度設計に組み込んでいるのです
- 在留資格「介護」: 介護福祉士の国家資格を持つ外国人の就労資格です。専門人財としての位置づけになります
この違いは、業務範囲や在留期間、転職の可否など、実務上の使い勝手に直結します。自施設の状況に合った制度を見極めることが、受け入れ成功の出発点です。
制度ごとの詳細
EPA(経済連携協定)
日本がインドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国と結んだ経済連携協定に基づく制度です。介護福祉士候補者として来日し、就労しながら国家試験合格を目指します。
- 在留期間: 最長4年(国家試験に合格すれば在留資格「介護」に移行可)
- 日本語要件: インドネシア・フィリピンはN5程度、ベトナムはN3以上
- 特徴: 来日前に6ヶ月〜1年の日本語研修があります。受入れ調整機関はJICWELS(国際厚生事業団)のみです
- 注意点: 国家試験の合格率は40〜50%台で推移しています(年度により変動あり)。不合格の場合は帰国が原則となります
技能実習
途上国の人財が日本で技能を学び、母国の経済発展に活かすことを目的とした制度です。介護分野は2017年11月に追加されました。
- 在留期間: 1号(1年)→ 2号(2年)→ 3号(2年)で最長5年
- 日本語要件: N4相当(入国時)
- 特徴: 監理団体を通じた受け入れが必須です。段階的に技能を習得する仕組みになっています
- 注意点: 人員配置基準に算入できません。転職も原則不可です。2027年4月に育成就労制度へ移行する予定です
特定技能
2019年4月に創設された在留資格です。人手不足が深刻な分野(2024年3月の閣議決定で16分野に拡大)で、即戦力となる外国人財の就労を認めています。
- 在留期間: 1号は通算5年。2号は上限なし(ただし介護分野は2号の対象外。介護福祉士取得により在留資格「介護」へ移行)
- 日本語要件: N4以上 + 介護日本語評価試験合格
- 特徴: 配置基準に初日から算入できます。夜勤も可能です。2025年4月から訪問系サービスも一部解禁されます
- 注意点: 支援計画の策定が義務づけられています(登録支援機関への委託が一般的です)
2026年1月時点で特定技能「介護」の在留者数は約5万5,700人。4つの制度の中で最も増加ペースが速く、現場での即戦力として期待が高まっています(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」)。
在留資格「介護」
介護福祉士の国家資格を持つ外国人に付与される在留資格です。2017年9月に創設されました。
- 在留期間: 上限なし(更新回数に制限なし)
- 日本語要件: 明示的な要件なし(国家試験合格が前提のため、実質N2以上)
- 特徴: 家族帯同が認められています。訪問系を含む全業務に従事でき、転職も自由です
- 注意点: 介護福祉士の取得が前提のため、新規採用のハードルは高くなります。EPAや特定技能からのステップアップが現実的なルートです
3つの軸で比較 — コスト・即戦力度・長期定着
外国人介護人財の受け入れコスト比較(初期費用+ランニングコスト)
外国人介護人財の受け入れにかかる費用は、制度ごとに大きく異なります。
| 費用項目 | EPA | 技能実習 | 特定技能 |
|---|---|---|---|
| 紹介・あっせん費 | JICWELS経由で数十万円 | 監理団体経由で20~50万円 | 人財紹介会社経由で年収の20~30%が相場 |
| 監理・支援費(月額) | — | 3~5万円/人 | 2~4万円/人(登録支援機関) |
| 渡航費 | 事業者負担が一般的 | 事業者負担が一般的 | 事業者負担が一般的 |
| 住居費 | 事業者が手配 | 事業者が手配 | 事業者が手配 |

紹介手数料は、費用の中で最も差が出るポイントです。特定技能の場合、年収300万円の人財であれば紹介料は60〜90万円が相場。しかし実際には、紹介元によっては紹介料が発生しないケースもあります。紹介元の選定が、受け入れコストを左右する最大の要因です。
即戦力度(入職時にどこまで任せられるか)
| 項目 | EPA | 技能実習 | 特定技能 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|---|---|
| 配置基準への算入 | 6ヶ月後 | 不可 | 初日から | 初日から |
| 夜勤 | 一定期間後 | 条件付き | 可 | 可 |
| 入職時の日本語力 | N5~N3 | N4相当 | N4以上 | N2相当 |
| 業務範囲 | 身体介護全般 | 身体介護全般 | 身体介護全般+訪問(一部) | 制限なし |
特定技能は「入職初日から配置基準に算入できる」という点が大きな強みです。人手不足に悩む現場にとって、この違いは日々のシフト編成を直接左右します。即戦力を求める施設に特定技能が選ばれている理由がここにあります。
長期定着(何年働いてもらえるか)
| 項目 | EPA | 技能実習 | 特定技能 | 在留資格「介護」 |
|---|---|---|---|---|
| 最長在留期間 | 4年 | 5年 | 5年(1号) | 上限なし |
| 延長・移行の道 | 国家試験合格→「介護」 | 3号→特定技能→「介護」 | 介護福祉士取得→「介護」 | そのまま更新 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 不可(介護は2号対象外) | 可 |
長期定着を見据えるなら、「特定技能1号 → 介護福祉士取得 → 在留資格『介護』」のキャリアパスが現実的です。5年の間に国家資格を取得すれば、在留期限なく働き続けられます。在留資格「介護」に切り替わると家族帯同も可能になるため、外国人財本人にとっても明確な目標になります。
どの制度が自施設に合うか、迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事業所タイプ別 — おすすめの制度はこれ

初めて外国人を受け入れる施設 → 特定技能
外国人財の受け入れが初めてなら、特定技能が最も取り組みやすい制度です。
- 入職初日から配置基準に算入でき、即戦力として現場を支えてもらえます
- 試験合格者のため、一定の技能と日本語力が確かなものとして保証されています
- 登録支援機関に委託すれば、支援業務の大半を安心して任せることができます
ASCareでは、来日前に最大6ヶ月の教育を行い、介護技術と日本語を丁寧に身につけた人財を紹介料0円でご紹介しています。業界の相場では紹介料が年収の20〜30%かかりますが、ASCareは現地法人を持っているため、中間マージンが発生しません。対象国はミャンマー・インドネシア・ベトナム・ネパールの4カ国。即戦力育成型の教育を経た人財だからこそ、現場への早期定着が期待できます。
長期育成を前提にしたい施設 → EPA or 技能実習→特定技能
「時間をかけて育て、長く共に歩んでいきたい」という方針であれば、EPA、または技能実習から特定技能への移行ルートが適しています。
- EPAは来日前の日本語研修が手厚く、国家試験合格を目指す明確な目標がモチベーションになります
- 技能実習から特定技能への移行は、同じ施設で信頼関係を積み重ねながら働き続けてもらえるという利点があります
ただし、EPAは受入れ調整機関がJICWELSに限定され、対象国も3カ国のみです。技能実習は2027年に育成就労制度へ移行するため、制度の過渡期にある点は考慮が必要です。
すでに介護福祉士を持つ外国人を採用したい → 在留資格「介護」
介護福祉士の国家資格を持つ外国人財を直接採用するなら、在留資格「介護」が最も適しています。
- 在留期間の上限がなく、家族帯同も認められています
- 業務に制限がなく、訪問系を含むすべてのサービスに従事できます
- 転職も自由なため、本人の意思で長く根づいてもらえる環境が整います
ただし、介護福祉士資格の取得が前提のため、対象者は限られます。EPAや特定技能からのステップアップとして計画的に位置づけることが、現実的な方法です。
2027年の育成就労制度で選択肢はどう変わるか

2027年から、現行の技能実習制度に代わり「育成就労制度」がスタートします。「人財確保と育成」を正面から目的に据え、特定技能1号への移行を前提とした制度です。
「就労育成 → 特定技能1号 → 介護福祉士取得 → 在留資格『介護』」という一貫したキャリアパスが制度として整備されるため、事業者にとっては長期的な人財計画が立てやすくなります。転職制限の緩和も予定されていますが、丁寧な受け入れ体制と働きやすい環境を整えている施設ほど、人財は根づいていくものです。
育成就労制度と特定技能の接続の詳細は「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」でまとめています。
まとめ
- 4つの在留資格は、それぞれ目的・在留期間・業務範囲が異なる
- 初めての受け入れには、初日から配置基準に算入できる特定技能が最も取り組みやすい
- コストの差は紹介手数料で決まる。紹介料が発生しない事業者を選べば負担を大きく抑えられる
- 長期定着を見据えるなら「特定技能1号 → 介護福祉士 → 在留資格『介護』」のキャリアパスが有力
- 2027年の育成就労制度により、特定技能への接続ルートはさらに整備される
| 選び方の目安 | おすすめの制度 |
|---|---|
| 初めて外国人を受け入れる | 特定技能 |
| じっくり育てて長く働いてほしい | EPA or 技能実習→特定技能 |
| 介護福祉士を持つ人財を採用したい | 在留資格「介護」 |
外国人財の受け入れは、人手不足を一時的に補うためだけの取り組みではありません。異なる文化や価値観を持つ仲間を迎え入れ、共に現場をつくっていく。その先に、10年後も安心して続けられる介護の未来があります。
「制度は理解できたが、受け入れに踏み切る不安がある」という方は「外国人介護士の受け入れが不安な施設長へ|よくある5つの不安と解決策」もあわせてお読みください。
ASCareは、累計3,000人以上の外国人介護人財を受け入れてきた50年以上の歴史を持つ介護事業者です。即戦力育成型の教育から紹介、定着支援まで一気通貫で寄り添い、紹介料0円で確かな人財をお届けしています。
まずはお気軽にご相談ください。貴施設に合った制度選びから、丁寧にお手伝いいたします。