外国人介護士を受け入れる制度の仕組みはわかった。不安への対処法も整理できた。それでも「本当にうちの施設でうまくいくのだろうか」と踏み切れない方は多いのではないでしょうか。
この記事では、累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきた中で見えてきた3つの成功事例を、施設タイプ別に紹介します。小規模施設、大規模施設、訪問介護事業所。それぞれの現場で、何が不安で、何に取り組み、どう変わったのか。具体的な流れでお伝えします。
外国人介護士の受け入れに対する不安と解決策については「外国人介護士の受け入れが不安な施設長へ|5つの不安と解決策」で詳しくまとめています。
外国人介護士の受け入れにうまくいく施設はどこが違うのか
受け入れ施設の数は急速に増えている
外国人介護士の受け入れは、もはや特別な施設だけの取り組みではありません。特定技能「介護」の在留者数は2025年12月末時点で67,871人となっており、全国の介護施設で外国人財と日本人スタッフが一緒に働く風景は着実に広がっています(出入国在留管理庁 外国人労働者に関する制度概要)。
成功と失敗を分ける3つの要素

3,000人以上の受け入れ実績から見ると、成功する施設と苦戦する施設の違いは明確です。
① 受け入れ前の準備があるかどうか
「来てから考える」施設は苦労します。成功する施設は、入職前に受け入れ体制を整えています。日本人スタッフへの事前説明、ご利用者やご家族への案内、業務マニュアルの見直し。地道な準備が土台になります。
② 教育済みの人財を採用しているかどうか
日本語も介護技術も未熟な状態で入職すれば、現場の負担は大きくなります。来日前に介護と日本語の教育を受けた外国人介護士を採用することで、OJTの負担は大幅に軽減されます。
③ 入職後の定着支援があるかどうか
紹介して終わりではなく、入職後の生活面・仕事面のフォローがあるかどうか。孤立させない体制が、定着率を左右します。定着率を上げるための具体的な方法は「外国人介護士の定着率を上げる方法|離職を防ぐ5つの取り組み」で詳しく解説しています。
成功事例① 小規模施設(特養・グループホーム)での受け入れ
外国人介護士受け入れ前の不安
職員数が少ない小規模施設では、「教育に手が回らない」「少人数のチームに馴染めるか」という不安が出やすい傾向があります。グループホームのように家庭的な雰囲気を大切にする現場では、「ご利用者との距離が近い分、コミュニケーションの壁が心配」という声も聞かれます。
取り組んだこと
成功している小規模施設に共通するのは、次の3つの工夫です。
メンター制度の導入:
教育担当を1名決め、日々の業務の中で困ったことをすぐ相談できる体制をつくっています。少人数だからこそ、担当を明確にすることが大切です。
ご利用者への丁寧な事前説明:
入職前にご利用者とご家族に「新しいスタッフが入ります」と説明し、顔合わせの場を設けています。グループホームでは、食事を一緒にとる場がそのまま自己紹介の機会になります。
介護記録のテンプレート化:
記録業務はテンプレートを用意し、定型文で書ける仕組みにしています。記録の質を保ちながら、外国人財の負担を軽減できます。
成果と変化
少人数の現場は、実は外国人介護士が定着しやすい環境でもあります。スタッフ同士の距離が近い分、信頼関係を築きやすいのです。「名前で呼び合える関係」が早い段階でできる小規模施設では、外国人介護士がチームの一員として自然に受け入れられるケースが多く見られます。
ご利用者との関係も同様です。毎日顔を合わせるうちに、言葉の壁を超えた信頼が生まれます。「最初は不安だったけれど、今ではこの子が来ると嬉しそうにする利用者がいる」。そうした声は珍しくありません。
成功事例② 大規模施設(老健・有料老人ホーム)での受け入れ
外国人介護士受け入れ前の不安
大規模施設では「複数の外国人スタッフを同時に受け入れることへの不安」が出やすい傾向にあります。シフト管理、部署ごとの業務の違い、夜勤体制への対応など、管理面の課題も大きくなります。
取り組んだこと
大規模施設で成果を上げているケースでは、以下の取り組みが共通しています。
段階的な配置:
一度に全部署に配置するのではなく、まずは日勤帯の特定フロアからスタートし、慣れてから配置を広げています。最初の1〜2ヶ月は日本人スタッフとのペア体制で業務に入ります。
多国籍チームのマネジメント:
複数名を受け入れる場合、同じ国籍のスタッフが孤立しないよう、あえてフロアを分散させる施設もあります。日本人スタッフとの接点を増やすことが、日本語力の向上にもつながります。
リーダー層への事前研修:
外国人介護士を直接指導するフロアリーダーやユニットリーダーには、「やさしい日本語」の使い方や文化の違いへの理解を事前に伝えています。指導する側の不安を取り除くことが、現場の混乱を防ぎます。外国人介護士とのコミュニケーションの実態と工夫については「外国人介護士とのコミュニケーション問題」
成果と変化
大規模施設では、外国人介護士が複数いることで互いに支え合える環境が生まれます。先に入職した外国人介護士が後輩の相談相手になり、「外国人介護士が後輩を育てる」という好循環が生まれている施設もあります。
組織として受け入れ体制をつくれるのは、大規模施設の強みです。教育担当の配置、マニュアルの整備、定期面談の仕組みなど、制度として回せる体制を一度つくれば、2人目以降の受け入れはスムーズになっていきます。
「何人受け入れるのが良いか、どのフロアに配置すべきか」。累計3,000人以上の外国人財を受け入れているASCareの知見を活かして、具体的な計画づくりから一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。
成功事例③ 訪問介護事業所での受け入れ

訪問介護で外国人介護士が働けるようになった背景
2025年4月から、特定技能および技能実習の外国人介護士が一定の条件下で訪問系サービスに従事できるようになりました。それまで外国人介護士の活躍は施設内に限られていましたが、制度改正により訪問介護事業所でも受け入れが可能になっています。(外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について|厚生労働省)。なお、技能実習制度は2027年4月以降、育成就労制度へ移行予定です。
ただし、訪問介護での受け入れには追加の要件があります。事業所側にはサービス提供責任者の同行訪問や定期的な確認体制の整備が求められ、通常の施設型より丁寧な体制構築が必要です。特定技能「介護」の制度については「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
取り組んだこと
訪問介護事業所で外国人介護士の受け入れを進めているケースでは、次のような取り組みが見られます。
同行訪問からの段階的な独り立ち:
最初はサービス提供責任者が同行し、業務の流れやご利用者ごとの対応を実地で伝えています。いきなり1人で訪問させるのではなく、段階を踏んで独り立ちを目指します。
訪問先ごとの対応シートの作成:
ご利用者ごとに「好み」「注意点」「よく使う声かけ」をまとめたシートを作成し、訪問前に確認できるようにしています。定型化できる部分を事前に整理することで、外国人介護士の不安を軽減しています。
移動中の連絡体制:
訪問中にわからないことが出たとき、すぐに電話やメッセージで確認できる体制を整えています。「困ったらすぐ聞ける」安心感が、訪問先での自信につながります。
成果と変化
訪問介護は「1対1」の関係が基本です。ご利用者と深い信頼関係を築きやすいのが、訪問介護ならではの特徴といえます。外国人介護士の丁寧な対応や明るい人柄が、ご利用者の生活に彩りを添えるケースも出てきています。
制度が始まったばかりの段階であり、まだ受け入れ事例は限られています。だからこそ、計画的に準備を進め、丁寧な体制を整えた事業所が先行者として良い結果を出しやすい時期でもあります。

外国人介護士の受け入れに成功している施設に共通する5つのポイント
上記の3パターンに共通する成功のポイントを5つにまとめました。
① 「来てから考える」ではなく、事前に準備している
日本人スタッフへの説明、ご利用者への案内、業務マニュアルの見直し。受け入れ前の準備が、初日からの安心につながっています。
② 教育済みの人財を選んでいる
日本語と介護技術を来日前に学んだ人財を採用しています。現場で「ゼロから教える」負担がないことが、日本人スタッフのストレス軽減に直結します。ASCareの即戦力育成型プログラムでは、来日前に最大6ヶ月間の教育期間を設けています。
③ 入職後も継続して支援している
紹介して終わりではなく、生活面・仕事面・学習面・感情面の4つの軸で定着を支援しています。ASCareでは介護現場の経験者が支援スタッフとして寄り添います。
④ 最初は日本人スタッフとペアで配置している
施設の規模にかかわらず、最初の1〜2ヶ月は日本人とペアで動く体制が定着率を高めています。外国人介護士もご利用者も、双方が安心できます。
⑤ 小さな成功体験を積み重ねている
いきなり難しい業務を任せるのではなく、できることを一つずつ増やしていく。その積み重ねが自信になり、チームへの信頼になり、長く働き続ける動機になっています。
ASCareは、教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で対応しています。3,000人以上の受け入れ実績から見えてきたこれらの成功パターンをもとに、貴施設の状況や悩みに寄り添ってご提案します。
まとめ
外国人介護士の受け入れがうまくいく施設には、共通する成功パターンがあります。
- 小規模施設: 距離の近さを活かし、メンター制度とご利用者への丁寧な紹介で信頼関係を早期に構築
- 大規模施設: 段階的な配置とリーダー層への事前研修で、組織的な受け入れ体制を構築
- 訪問介護事業所: 同行訪問からの段階的な独り立ちと、訪問先ごとの対応シートで安心を確保
- 共通するカギ: 事前準備、教育済み人財の採用、入職後の定着支援。この3つが揃っている施設が成果を出しています
外国介護士の受け入れは「やるかどうか」ではなく「どう準備するか」のフェーズに入っています。計画的な準備と信頼できるパートナーの存在が、現場に安心をもたらします。
参考リンク
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持ち、累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきました。紹介料は無料です。教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で寄り添います。