外国人介護士の採用で迷ったら、まず押さえるべきなのは「どの資格で、どこまで働けるか」です。制度は4つあり、必要な試験や日本語要件も異なるため、違いを整理すれば自社に合う採用ルートが見えてきます。この記事では、介護業界50周年、3,000名以上の外国人財受け入れ実績を誇る株式会社ASCare(アスケア)が、現場で使える判断基準までわかりやすく解説します。
外国人介護士に必要な資格とは?まず押さえるべき基本
外国人が介護現場で働くには、「どの資格で働くのか」ではなく「どの在留資格で就労するのか」を正しく整理することが重要です。介護分野には主に4つの制度があり、必要な試験や日本語要件、働ける範囲がそれぞれ異なります。
「資格」と「在留資格」はどう違うのか
まず押さえておきたいのは、介護福祉士などの資格と、日本で働くための在留資格は別のものだという点です。資格は専門性や知識・技能を証明するものであり、在留資格は外国人が日本でどのような活動を行えるかを定める法的な区分です。
そのため、外国人介護士を採用する際は、資格を持っているかどうかだけでなく、どの在留資格で、どこまでの業務に従事できるのかまで確認する必要があります。資格と在留資格を分けて整理しておくことで、採用可否の判断がしやすくなり、入職後のミスマッチも防ぎやすくなります。
介護現場で外国人が働ける主な制度
介護分野で外国人が働く主な仕組みは、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、在留資格「特定技能」の4つです。特定技能については、介護分野で受け入れられる「特定技能1号」を指します
「今すぐ採用したいのか」「長く働く人材を育てたいのか」によって、最適な選択肢が見えやすくなります。
特定技能「介護」・在留資格「介護」・EPA・技能実習については以下の記事が読まれています。
外国人介護士の主な資格・在留資格を一覧で比較

外国人が介護現場で働くルートは複数ありますが、採用しやすさ・必要な試験・長期定着のしやすさは制度ごとに大きく異なります。まず全体像を押さえると、自社が「即戦力を採るのか」「育成前提で受け入れるのか」を判断しやすくなります。
特定技能「介護」
特定技能「介護」は、即戦力として採用しやすい制度です。介護分野で働くためには、介護技能評価試験と介護日本語評価試験に加えて、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上が求められます。技能実習2号を良好に修了している場合は、一部試験が免除されるケースもあります。
そのため、比較的早く現場に入ってもらいたい施設に向いています。
在留資格「介護」
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人が対象です。出入国在留管理庁では、介護福祉士の資格を有する者が、介護または介護の指導を行う活動に従事する在留資格として整理されています。
この資格は更新を重ねながら働けるため、長期就労や中核人材化を見据えた採用と相性がよい制度です。
EPA
EPAは、介護福祉士国家試験の合格を目指すルートです。受け入れ後の育成を前提にしており、採用した時点で完成された即戦力というより、学びながら戦力化していく人材を受け入れる制度と考えると分かりやすいです。EPA介護福祉士候補者を受け入れる施設には、介護福祉士養成施設の実習施設と同等の研修体制を備え、法令上の職員配置基準を満たしていることが求められます。また、原則として定員30人以上の対象施設であり、候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払うことや、日本語学習・国家試験対策を含む育成支援体制を整えていることも必要です。
技能実習
技能実習は、開発途上地域等への技能・知識の移転を目的とする制度で、特定技能のような即戦力確保が主目的ではありません。介護分野では、技能実習2号を良好に修了すると、特定技能1号への移行時に必要な試験が免除されます。なお、技能実習制度は2027年4月から育成就労制度へ移行します。育成就労は、人材育成と人材確保を目的とし、原則3年間で特定技能1号水準の人材を育成する制度です。
外国人介護人材の主な在留制度比較
介護分野で外国人材を受け入れる主な4つの制度を、対象者・試験・日本語要件・在留期間・採用しやすさ・長期定着の観点から比較しました。
| 制度 | 対象者 | 必要な試験 | 日本語要件 | 在留期間 | 採用のしやすさ | 長期定着との相性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 特定技能「介護」 | 介護現場で働きたい外国人 | 介護技能評価試験、介護日本語評価試験 | JFT-BasicまたはJLPT N4以上 | 通算5年 | 高い | 中程度 |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士資格を持つ外国人 | 介護福祉士国家資格 | 実務に支障のない日本語力が必要 | 更新可 | 中程度 | 高い |
| EPA | 介護福祉士取得を目指す人材 | 介護福祉士国家試験を目指す | 制度上の要件あり | 制度に基づく | 中程度 | 高い |
| 技能実習 | 育成目的で受け入れる外国人 | 制度・職種に応じて異なる | 制度に応じて異なる | 制度に基づく | 中程度 | 低〜中程度 |
※この表は2026年9月時点の制度に基づいています。最新情報は厚生労働省・出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。
採用目的別に見る、どの資格を選ぶべきか

外国人介護士の採用は、「今すぐ人手を確保したいのか」「長く働く人材を育てたいのか」で選ぶ制度が変わります。制度の違いを先に整理しておくと、採用の失敗やミスマッチを防ぎやすくなります。
すぐに現場で働ける人材を採用したい場合
特定技能「介護」が有力な候補です。原則として、介護技能評価試験と介護日本語評価試験に加え、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上の合格が必要です。一定の技能や日本語能力を持つ人材を受け入れる制度のため、早期の現場配置を目指す施設に適しています。ただし、採用後の業務教育や職場定着に向けた支援は必要です。なお、介護職種の技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能「介護」への移行時に必要な試験が免除されます。
長期就労や安定雇用を重視したい場合
在留資格「介護」につながる人材育成を前提に考えるのは有効です。在留資格「介護」は、介護福祉士資格を持つ外国人が、介護や介護の指導を行う活動を対象とした在留資格で、長期的に現場を担う人材の育成に向いています。特定技能「介護」から介護福祉士資格の取得を経て、在留資格「介護」へ移行する流れを見据えることで、単なる補充ではなく、長く働く人材の確保につながります。
育成前提で受け入れたい場合
育成前提で受け入れたい場合は、EPAが有力です。EPAは、介護福祉士国家試験の合格を目指す外国人介護福祉士候補者を受け入れる制度で、受け入れ後の日本語学習や試験対策の支援が重要になります。教育体制を整えられる施設に向いています。
技能実習は、人材育成を目的とした制度で、即戦力採用というより「学びながら働く」前提の受け入れに向いています。特定技能とは制度の目的が異なるため、採用時には将来の移行先まで含めて検討することが重要です。
自施設に合う制度を見極めるチェックポイント
CHECK 施設が制度を選ぶための5つのチェックポイント
人員不足の緊急度が高い場合
特定技能「介護」を優先しやすいです。
教育体制を整えられる場合
EPAや技能実習のような育成型も選択肢になります。
日本語サポートの可否を確認する場合
入職後の定着リスクを下げやすくなります。
定着支援に余力がある施設の場合
長期雇用につながる制度を選びやすくなります。
将来の戦力化方針まで考える場合
特定技能から在留資格「介護」へのキャリアパスを設計するのが有効です。
※自施設の状況に照らし合わせて、適切な制度を選択する際の参考にしてください。
採用の正解は一つではなく、「今の人手不足を埋める」か「将来の中核人材を育てる」かで最適解が変わります。自施設の目的に合わせて制度を選ぶことで、採用効率と定着率の両方を高めやすくなります。
外国人介護士に必要な試験と日本語要件
外国人介護士の採用では、制度ごとに必要な試験と日本語要件が異なるため、最初に整理しておくことが重要です。特定技能「介護」では介護技能評価試験・介護日本語評価試験に加え、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上が求められます。
特定技能「介護」で必要な試験
特定技能「介護」で働くには、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の合格に加え、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上の合格が必要です。これらの要件を満たすことで、介護現場に必要な基礎的な技能と日本語力を確認できます。採用時は、試験合格だけでなく、現場での会話対応力まで見ておくと、入職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
介護福祉士国家試験が必要になるケース
在留資格「介護」につなげるには、介護福祉士資格が必要です。介護福祉士は、介護や介護の指導を行う人材として位置づけられており、長期就労を見据えた採用と相性がよい制度です。
そのため、特定技能「介護」は現場での即戦力採用に向き、在留資格「介護」は資格取得後の中核人材化を目指すルートとして考えると分かりやすいです。
試験が免除されるケース
介護職種・介護作業の技能実習2号を良好に修了した場合、特定技能「介護」への移行時に必要な試験が免除されます。具体的には、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上の要件が免除対象です。
ただし、技能実習2号を修了していても、介護職種・介護作業以外の修了者は扱いが異なります。採用前には、修了した職種・作業と良好修了の要件を個別に確認することが重要です。
日本語レベルはどこまで必要か
制度上は、特定技能「介護」でN4相当以上の日本語力が求められますが、実際の現場ではそれだけでは不十分なことがあります。介護現場では、利用者との声かけ、申し送り、記録、緊急時対応など、会話として通じる日本語力が必要になるためです。
つまり、試験合格はスタートラインであり、現場定着には「聞く・話す・伝える」力が重要です。採用時は、日本語試験の結果に加えて、日常会話や介護現場での受け答えを確認すると、受け入れ後の不安を減らしやすくなります。
特定技能外国人の受け入れについてお困りの方は、ASCareへご相談ください。施設ごとの状況を確認し、受け入れ条件の整理から必要な手続き、採用後の支援体制づくりまで、実務に即してサポートします。
外国人介護士を受け入れるときに施設側が確認すべきこと

外国人介護士の受け入れは、採用条件を満たしているかだけでなく、施設側が受け入れられる体制を整えられているかが重要です。指導体制、現場連携、定着支援、費用負担まで事前に確認しておくと、採用後のトラブルを減らしやすくなります。
受け入れ体制は整っているか
まず確認したいのは、指導担当者を誰にするかです。外国人介護士は、業務の進め方や利用者対応、記録方法に慣れるまで時間がかかるため、最初の受け入れ窓口を明確にしておく必要があります。
次に、業務マニュアルの整備が重要です。口頭説明だけに頼ると伝わりにくいため、手順を文章や図で示せるようにしておくと安心です。特に、排泄介助、移乗、申し送り、緊急時対応などは、施設ごとのルールを分かりやすくまとめておくと実務で役立ちます。
さらに、多言語対応の必要性も見ておくべきです。日本語力には個人差があるため、やさしい日本語、写真付き資料、翻訳補助ツールなどを活用できると、初期定着がしやすくなります。
現場スタッフとの連携はできるか
外国人介護士の受け入れでは、教える人の選定が成果を左右します。経験のある職員を担当にするだけでなく、説明が丁寧で、相手の理解度に合わせて伝えられる人を選ぶことが大切です。
また、指示の出し方にも工夫が必要です。一度に多くを伝えるのではなく、短く区切って伝えたり、作業の目的まで説明したりすると理解されやすくなります。
加えて、記録・申し送りの工夫も欠かせません。専門用語を減らし、定型文を使う、見本を用意する、ダブルチェックを行うなど、現場の情報共有を仕組み化すると連携がスムーズになります。
定着支援まで見据えているか
採用後に長く働いてもらうには、生活支援まで含めて考える必要があります。住居、通勤、買い物、行政手続きなど、仕事以外の不安を減らせると離職防止につながります。
さらに、面談体制を定期的に設けることも有効です。困りごとを早めに拾える場があると、仕事上のストレスが蓄積しにくくなります。日本語の不安や人間関係の悩みも、面談で把握しやすくなります。
将来的な定着を意識するなら、キャリアパスの提示も重要です。どのような経験を積めば次の役割に進めるのか、資格取得支援があるのかを示すことで、働く意欲を維持しやすくなります。
採用コストと支援負担を把握しているか
外国人介護士の採用では、給与や紹介料などの直接費用だけでなく、教育、生活支援、通訳対応、書類手続きといった運用負担も発生します。
特に最初の数か月は、OJTの時間、説明資料の作成、面談対応などに人手がかかります。見えにくいコストまで含めて計算しておくと、採用後に「思ったより負担が大きい」と感じにくくなります。
採用を成功させるポイントは、採る前の準備と、採った後の支援をセットで考えることです。受け入れ体制、現場連携、定着支援、コスト管理を事前に確認しておくことで、外国人介護士の活躍を施設の力に変えやすくなります。
外国人介護士の教育・研修については以下の記事が読まれています。
外国人介護士の採用を成功させるポイント

外国人介護士の採用を成功させるには、採用前に制度を決め、入職後の教育を標準化し、将来のキャリア設計まで見せることが重要です。特定技能・在留資格「介護」・EPA・技能実習には役割の違いがあるため、目的に合った制度選びが出発点になります。
採用前に制度を決める
まず、どの在留資格で採るのかを先に決めることが重要です。
特定技能「介護」は即戦力確保に向き、在留資格「介護」は介護福祉士資格を持つ人材の長期就労に向いています。
EPAや技能実習は育成を前提にした受け入れと相性がよく、採用後の支援体制も含めて検討する必要があります。
入職後の教育を標準化する
入職後は、業務手順の見える化、OJTの分解、日本語教育の継続をセットで進めると定着しやすくなります。
現場任せにせず、業務を小さな単位に分けて教え、マニュアルやチェックリストで標準化すると、教える側の負担も減らせます。
また、日本語試験の合格だけでなく、現場会話に慣れる継続支援が必要です。
現場が困りやすいポイントを先回りする
現場では、言い回しの違い、介助の安全基準、文化差への配慮でつまずきやすくなります。
そのため、曖昧な表現を避けて具体的に伝える、介助の手順や安全ルールを明文化する、価値観の違いを前提に説明することが有効です。
とくに申し送りや記録では、短くわかりやすい表現に統一すると連携しやすくなります。
将来のキャリア設計を見せる
長く働いてもらうには、特定技能から介護福祉士取得、在留資格「介護」へつなげる流れを示すことが効果的です。
特定技能「介護」は在留期間に上限がありますが、介護福祉士資格を取得すれば在留資格「介護」への移行が可能です。
このキャリアパスが見えると、本人の定着意欲が高まり、施設側も中核人材として育てやすくなります。
採用を成功させる鍵は、制度選定・教育設計・定着支援・将来設計を一連の流れとして整えることです。
この4点を先に固めておくと、外国人介護士の採用は「補充」ではなく「戦力化」に変えやすくなります。
よくある質問

外国人介護士に国家資格は必要ですか
制度によって異なります。 特定技能「介護」やEPA、技能実習では、採用時点で必ずしも国家資格が必要ではありませんが、在留資格「介護」では介護福祉士資格が必要です。介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格で、資格取得には介護福祉士国家試験の合格が必要です。
無資格・未経験でも採用できますか
採用できます。 特定技能「介護」は、介護技能評価試験と介護日本語評価試験、日本語試験を満たせば採用対象になります。技能実習やEPAも、育成前提で受け入れる制度として活用できます。
どの資格なら長く働けますか
在留資格「介護」が最も長期就労と相性がよいです。 この在留資格は更新を重ねながら継続就労しやすく、介護福祉士資格を持つ外国人が対象です。
介護福祉士の資格を取ると何が変わりますか
在留資格「介護」への移行が可能になり、働ける幅が広がります。 介護福祉士資格を取得すると、介護業務だけでなく介護の指導を行う活動にもつながり、長期的に中核人材として活躍しやすくなります。
まとめ

外国人介護士の採用は、制度選び・受け入れ準備・教育設計・定着支援を最初から一体で考えることが成功の鍵です。特定技能「介護」は即戦力の確保に向き、在留資格「介護」は長期就労と中核人材化に向いています。
特に重要なのは、採用して終わりにしないことです。受け入れ体制の整備、現場スタッフとの連携、日本語支援、生活支援、キャリアパスの提示まで用意できると、早期離職を防ぎやすくなります。
また、外国人介護士の活躍は、試験合格だけでは決まりません。現場では、方言や言い回しの違い、介助の安全基準、文化差への配慮がつまずきやすいので、業務の見える化と継続的なOJTが欠かせません。
採用を進める前に、自施設がどの制度で、どこまで支援できるのかを整理しておくことが重要です。目的に合った在留資格を選び、教育と定着の仕組みを整えることで、外国人介護士は単なる人手補充ではなく、施設を支える戦力になりやすくなります。
特定技能外国人の受け入れについてお困りの方は、ASCareへご相談ください。施設ごとの状況を確認し、受け入れ条件の整理から必要な手続き、採用後の支援体制づくりまで、実務に即してサポートします。
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