「うちで働く外国人スタッフの在留手続き、来年からもっとお金がかかるらしい」
そんな話を耳にした施設も多いのではないでしょうか。出入国在留管理庁が、在留資格の変更・更新や永住許可の手数料について、具体的な改定案を発表しました。出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正について」2026年6月5日
この記事では、何がいつから変わるのか、介護施設としてどれくらいの負担増になりそうか、そして今から準備できることを整理してお伝えします。
何が値上げされるのか
現在、在留資格の変更・期間更新の手数料は窓口申請で一律6,000円(オンライン5,500円)、永住許可は1万円です。改定案では、在留期間に応じた段階制に変わり、期間が短いほど1年あたりの負担は重く、長いほど軽くなる設計になっています。
更新時期ごとに、現行の窓口申請・改定後の窓口申請・オンラインについて以下のように一覧でまとめてみました。

最も上がり幅が大きいのは、5年以上の在留期間が決定されるケースで、現行の12.5倍にあたる7万5,000円になる案です。永住許可はさらに大きく、20倍の20万円となっています。
「永住許可が本当に20万円になるのか」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。法律上の上限は30万円で、今回示されたのはその範囲内での案です。現在はパブリック・コメントの段階にあり、正式な確定はこれからになります。
いつから、なぜ値上げされるのか

いつから施行されるのか
改正入管法は2026年5月29日に成立し、手数料の上限が引き上げられました。これを受け入管庁は6月24日に金額案を提示、7月3日に政令案として正式発表し、同日からパブリック・コメントを実施しています。施行は2026年10月1日を予定しています。
なぜ値上げされるのか
在留資格の変更・更新や永住許可の手数料は、1981年に上限1万円と定められて以来、一度も見直されてきませんでした。その間、日本に在留する外国人は約79万人から約413万人(2025年度末時点)へと5倍以上に増えています(出入国在留管理庁「改正政令案等の概要」
今回の改定は、こうした状況を踏まえた政府方針に沿ったもので、審査にかかる実費(変更・更新は約1万円、永住許可は約2万円)に加え、出入国・在留管理に要する年間572億円相当の費用(1人あたり年間約2万円)や、諸外国の水準(アメリカ約110万円、韓国約1.1万円など)も勘案して算出されています。(e-Govパブリック・コメント案件番号315000136の添付資料)。
適用の基準が「許可日」ではなく「申請日」
実務上おさえておきたいのは、適用の基準が「許可日」ではなく「申請日」である点です。入管庁のQ&Aによれば、施行日より前に申請していれば、許可が施行日以後になっても手数料は改定前の金額が適用されます。2025年4月の前回改定でも同様の取り扱いがとられました。出入国在留管理庁「入管法施行令等の一部を改正する政令案等に関する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について」
介護施設の負担はどれくらい増えるのか

更新のタイミングでコストがどう変わるか
特定技能1号(介護分野などで就労する外国人の在留資格の一つ)の在留期間は、2025年9月の運用要領改正により、法務大臣が個々の事情に応じて最長3年まで指定できるようになりました。実際に付与される期間はケースによって異なり、現場では2年程度になることも珍しくありません。
仮に、特定技能1号の外国人財を5名雇用し、全員が2年の在留期間を得ているとします。現行の手数料は、更新のたびに一律6,000円、5名分では3万円かかります。改定後は「1年超3年未満」の区分にあたり、窓口で4万8,000円になります。5名分では24万円です。更新1回あたりの負担は、21万円増える計算になります。
永住許可を目指す人財への影響
永住許可については、対象者1名あたり1万円から20万円へと、金額自体の変化が最も大きくなります。定着が進み永住を目指す人財が出てくるほど、施設としても見過ごせない負担になっていきます。
そもそも外国人介護士の採用にかかる費用ってどれくらいなの?と感じている方はお気軽にご相談ください。現場を知るスタッフが、貴施設に合った体制づくりを一緒に考えます。
紹介料・支援費の相場についてさらに知りたい方は、「特定技能「介護」の採用にかかる費用は?紹介料・支援費の相場を解説」の記事も要チェックです。あわせてご覧ください。
介護施設として今からできる準備

ここまでの内容を踏まえると、施設としてできることは大きく2つに分けられます。一つは、更新のタイミングや手続きを漏れなく把握するための実務の仕組みづくり。もう一つは、手数料の負担について施設としての方針を決めておくことです。それぞれ、今日から着手できる具体策を5つにまとめました。
【実務の仕組みづくり】
①在留期限の一元管理台帳の整備
誰が・いつ・どの手続きの対象になるかを一覧化しておくことで、更新時期の前倒し検討にもすぐ着手できるようになります。
②更新時期の確認と前倒し検討
申請日が施行日(2026年10月1日)より前であれば改定前の料金が適用されます。台帳をもとに、更新時期が近い方から優先的にスケジュールを整理しましょう。
③オンライン申請の活用
窓口申請より安くなる案が示されているため、対応可能な手続きから切り替えを進めておくと負担を抑えられます。
④困窮者向け減額措置の把握
生活保護法上の要保護者に準ずる困窮があり、人道上の配慮が必要と認められる方には減額の枠組みがありますが、対象は限定的です。該当し得る方には早めに共有しておきましょう。
【施設としての方針決定】
⑤手数料の負担者を就業規則・雇用契約に明記する
今は「施設と本人どちらが負担するか」 について法律上の定めはありません。値上げ幅が大きくなる今のタイミングで方針を文書化 しておくと、後々のトラブルや「聞いていなかった」という不満を防げます。福利厚生としてのアピール材料にもつながります。
まとめ
- 在留資格の変更・更新の手数料は、現行一律6,000円から期間に応じて1万〜7万5,000円に、永住許可は1万円から20万円に引き上げられる案
- 施行は2026年10月1日を予定。適用は「申請日」が基準
- 特定技能1号を複数名雇用している施設は、更新頻度の高さから年間コストへの影響が大きくなりやすい
- 更新時期が近い施設・外国人財は、前倒し申請やオンライン申請の活用を検討したい
制度はパブリック・コメントを経て正式に確定します。最新情報は出入国在留管理庁の公式発表でご確認ください。
参考リンク
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