「特定技能の外国人財を受け入れてはいるが、義務的支援を漏れなく実施できているか、あらためて確認したい」——そう感じている施設は少なくありません。特定技能の義務的支援は、受け入れ時だけでなく、在留期間中ずっと続く企業の義務です。本記事では、介護業界で50年以上にわたり3,000名以上の外国人材受け入れ実績を持つ株式会社ASCareが、義務的支援10項目の内容と要件、2025年4月の改正点、そして介護施設で実施する際のポイントを整理しました。すでに自社で支援している施設も、登録支援機関に委託している施設も、あらためて確認する材料としてお使いください。
特定技能の「義務的支援」とは?対象と任意的支援との違い

義務的支援とは、特定技能1号の外国人財を受け入れる企業に、法律上必ず実施することが求められている10項目の支援です。対象は特定技能1号のみで、2号には支援義務がありません。(出入国在留管理庁1号特定技能外国人支援・登録支援機関について )
似た言葉に「任意的支援」があります。任意的支援は実施が望ましいとされるもので、法律上の義務ではありません。ただし、支援計画書に「実施する」と記載した場合は、任意的支援であってもその実施が義務になります。実施できるかどうか分からない項目は、計画書に書き込まないことが大切です。
義務的支援を怠った場合は、支援体制の基準を満たさないと判断され、その後一定期間、新たな受け入れに影響が及ぶ可能性があります。【3分でわかる】特定技能「介護」とは?制度の仕組み・受け入れ条件を解説 |株式会社ASCareで詳しく解説しています。
義務的支援10項目の内容と、介護施設での実施ポイント

まず全体像を押さえましょう。義務的支援は、事前ガイダンスから定期面談まで、外国人財の入国前から在留期間中まで幅広くカバーしています。項目ごとに実施のタイミングが異なるため、「いつ・何をすべきか」を最初に整理しておくことで、抜け漏れを防ぎやすくなります。以下の一覧を、日々の支援計画の確認にお役立てください。
| No. | 支援項目 | 主な要件の目安 | 実施時期 |
|---|---|---|---|
| 1 | 事前ガイダンス | 本人が十分に理解できる言語で実施します。理解に必要な時間を確保し、目安は概ね3時間程度です。 | 在留諸申請の前 |
| 2 | 出入国する際の送迎 | 入国時は空港から事業所または住居まで送迎します。出国時は保安検査場の入場まで同行します。 | 入国時・出国時 |
| 3 | 住居確保・生活に必要な契約支援 | 住居の確保を支援し、銀行口座・携帯電話・ライフラインなどの契約を案内・補助します。 | 入国前から入国直後 |
| 4 | 生活オリエンテーション | 本人が十分に理解できる言語で、日本での生活に必要な情報を説明します。目安は概ね8時間以上です。 | 入国直後 |
| 5 | 公的手続等への同行 | 住民登録・社会保険・税などの手続について、必要に応じて同行や手続の補助を行います。 | 入国後・随時 |
| 6 | 日本語学習の機会の提供 | 日本語教室や教材などの情報を提供します。日本語学習の機会を提供することが求められます。 | 在留期間中、継続的 |
| 7 | 相談・苦情への対応 | 本人が理解できる言語で相談・苦情に対応し、対応記録を作成・保管します。 | 在留期間中、随時 |
| 8 | 日本人との交流促進 | 地域行事などの情報を案内し、必要に応じて参加を補助します。 | 在留期間中、随時 |
| 9 | 転職支援(人員整理等の場合) | 受入れ側の都合による離職などの場合、求人情報の提供や有給休暇の付与などを支援します。 | 非自発的離職時 |
| 10 | 定期的な面談・行政機関への通報 | 本人と監督者それぞれに面談を行います。面談で法令違反等を把握した場合は、関係行政機関へ通報します。 | 在留期間中、3か月に1回以上 |
特定技能1号の義務的支援の詳細は、 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」 をご確認ください。実施内容や時期は、個別の状況や最新の運用要領に基づいて確認してください。
事前ガイダンスから住居確保まで(①〜③)
事前ガイダンスは、労働条件や入国手続などを、対面またはビデオ通話で説明するものです。書面の配布だけでは実施したことになりません。目安の時間は3時間程度で、新規入国者かどうかで多少変わります。何より大切なのは、外国人財が十分に理解できる言語で行うことです。
出入国時の送迎は、入国時は空港から住居まで、帰国時は保安検査場の入場まで見届ける必要があります。「最寄り駅まで送った」では要件を満たしません。
住居確保では、賃貸物件の紹介や内覧の同行、社宅の提供などを行います。あわせて銀行口座や携帯電話、ライフラインの契約も支援します。介護施設の場合、勤務シフトに合わせた不動産会社とのやり取りが発生しやすいため、計画的に進めることが欠かせません。
生活オリエンテーションと公的手続への同行(④⑤)
生活オリエンテーションは、生活ルールや公共機関の利用方法、医療、防災、相談窓口など、幅広い内容を説明するものです。目安の時間は8時間程度と長く、1日仕事になります。「忙しいから」と短縮すると、実態と計画書の記載が食い違うおそれがあるため、丁寧な準備が求められます。
公的手続への同行は、住民登録や社会保険、マイナンバーなどの手続きに付き添うものです。入国直後は他の支援と重なりやすいため、優先順位を決めて進めましょう。
日本語学習の機会提供(⑥)
義務として求められているのは、日本語教室や教材の情報提供という「機会の提供」です。学習そのものや費用の負担までは、法律上の義務ではありません。とはいえ、日本語力は現場でのコミュニケーションや定着そのものに直結します。情報提供だけで済ませるか、一歩踏み込んだ学習支援を行うかは、外国人財と共に歩む姿勢が問われる部分だと言えるでしょう。
相談・苦情対応と日本人との交流促進(⑦⑧)
相談・苦情への対応は、外国人財が理解できる言語で、随時対応できる体制を整えることです。平日日中の窓口だけでは、夜勤のあるシフトでは十分に機能しません。相談内容と対応結果を記録し、保管しておくことも忘れないようにしましょう。
日本人との交流促進は、地域行事の案内や、社内での交流の場づくりを指します。”外国人財だから”ではなく、同じ現場の仲間として自然に関わる機会を積み重ねることが、孤立を防ぐことにつながります。
転職支援と定期面談(⑨⑩)
転職支援は、施設側の事情による非自発的な離職の際に、求人情報の提供やハローワークへの同行などを行うものです。
定期面談は、3か月に1回以上、外国人財本人とその監督者、それぞれに実施します。ここで重要なのは、本人と監督者を同時に面談しないことです。同席していると、本人が本音を話しにくくなるためです。面談で労働関係の法令違反などを把握した場合は、関係行政機関への通報義務が生じます。面談記録は、いつ・誰が・何を話したかを残し、一定期間保管する必要があります。
義務的支援10項目を自社だけで回すには、担当者の配置や多言語対応など、整えるべき体制が少なくありません。ASCare(アスケア)では、介護施設の運営を50年以上続けてきた経験と、3,000人以上の外国人財受け入れ実績をもとに、教育から紹介、定着までを一気通貫でサポートしています。義務的支援の進め方に不安があれば、まずは現状をお聞かせください。
義務的支援に関する2025年4月の改正点(オンライン面談・定期届出の年1回化)
自社実施と登録支援機関への委託、どちらを選ぶか

義務的支援は自社で実施することも、登録支援機関に委託することもできます(出入国在留管理庁 登録支援機関(Registered Support Organization) )。自社で実施するには、支援責任者・支援担当者の選任や、中長期在留者の生活相談経験がある人材の確保など、一定の要件を満たす必要があります。要件を満たせない場合は、登録支援機関への全部委託が必要です。要件を満たしている企業であれば、一部委託を選ぶこともできます。
| 比較項目 | 自社実施 | 登録支援機関への委託 |
|---|---|---|
| 費用 | 人件費・通訳費用等が発生します。 | 委託費用が発生します。相場は月額2万〜3万円程度/人が目安です。料金や追加費用は機関によって異なります。JAC「登録支援機関に支払う費用の目安」 |
| ノウハウ | 支援の経験や知識を社内に蓄積できます。 | 登録支援機関が持つ知見を活用できます。 |
| 実務負担 | 支援業務と記録作成・保管を自社で行います。 | 支援業務を委託することで、自社の実務負担を軽減できます。 |
委託した場合でも、支援計画書の作成や実施状況の届出は、原則として受け入れ企業自身が行う点に注意が必要です。 「全部委託しているから何もしなくてよい」わけではありません。
介護施設の実施状況チェックリスト(自社向け/委託先への確認ポイント)

10項目は、実施した”つもり”になりやすい支援でもあります。自社支援・委託中、どちらの施設にも使えるよう、確認すべきポイントを整理しました。
自社支援の施設向け
- 10項目それぞれを、実施日時・方法・担当者を記録して保管しているか
- 事前ガイダンス・生活オリエンテーションを、理解できる言語で規定時間以上実施しているか
- 定期面談は3か月に1回以上、本人と監督者を別々に実施しているか
- 相談・苦情の記録を、必要な期間保管しているか
登録支援機関に委託中の施設向け
- 10項目のうち、どこまでを委託先が実施しているか把握しているか
- 委託先からの報告・記録を、定期的に確認しているか
- 委託していても自社に残る義務(支援計画書の作成・届出等)を理解しているか
- 委託費用に含まれる範囲(相談対応の言語数、面談の頻度など)を確認しているか
よくある質問
介護施設でよくあげられる質問について押さえておきましょう。
Q. 義務的支援10項目とは何ですか?
事前ガイダンス、出入国の送迎、住居確保・契約支援、生活オリエンテーション、公的手続同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期的な面談・行政機関への通報の10項目です。対象は特定技能1号のみです。
Q. 登録支援機関に委託すれば、施設側は何もしなくてよいのですか?
いいえ。委託した場合でも、支援計画書の作成や実施状況の届出は、原則として受け入れ企業が行います。委託先が実際に何を行っているか、定期的に確認することが大切です。
Q. 定期面談はどのくらいの頻度で行いますか?
3か月に1回以上、外国人財本人とその監督者、それぞれに対して行います。同時に面談することはできません。
まとめ
特定技能の義務的支援は、10項目すべてが法律上の義務であり、対象は特定技能1号の外国人財です。自社で実施する場合も、登録支援機関に委託する場合も、実施内容を定期的に見直し、記録を残していくことが欠かせません。
義務を果たすことは出発点にすぎません。日本語学習の機会をどう活かすか、日本人スタッフとどう関係を築くか、定期面談をどう本音を引き出す場にするか——ここに、外国人財が安心して働き続けられるかどうかがかかっています。
ASCareは、紹介会社ではなく、訪問入浴介護を50年以上手がけてきた介護事業者です。だからこそ、制度の説明だけでなく、現場で本当に必要な支援の形をご提案できます。支援スタッフも介護現場の経験者が対応するため、日々の相談も安心してお任せいただけます。紹介料は0円。まずは無料の資料請求から、お気軽にご相談ください。
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