外国人介護士の採用を検討し始めたとき、「結局、何をどの順番で進めればいいのか」が見えにくい、と感じる人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
在留資格の申請、雇用契約、入国後の届出。関わる手続きが多いうえに、関係機関もまたがるため、全体像を把握しないまま動き出すと手戻りが発生しやすくなります。
この記事では、特定技能「介護」で外国人介護士を採用する場合の流れを7つのステップに分け、各ステップの所要期間と事業者側がやるべきことを整理しました。特定技能制度の基本については「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」をご覧ください。
外国人介護士採用の流れ|全体像をつかむ
抑えておきたい7ステップの流れ
特定技能「介護」で外国人介護士を採用する場合、募集から入職までは以下の7ステップで進みます。
| Step | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 人財紹介会社・登録支援機関の選定 | 2~4週間 |
| 2 | 候補者の選考・面接 | 2~4週間 |
| 3 | 雇用契約の締結 | 1~2週間 |
| 4 | 在留資格の申請 | 1~3ヶ月 |
| 5 | 入国準備(住居・生活環境) | 2~4週間 |
| 6 | 入国・配属 | 1~2週間 |
| 7 | 届出・定期報告 | 入職後随時 |

全体の所要期間
海外から新たに外国人介護士を招く場合、Step 1からStep 6までおおよそ4〜6ヶ月が標準的な目安です。国内在住の外国人(技能実習からの移行や留学生)を採用する場合は、入国手続きが不要なため、2〜3ヶ月で入職できるケースもあります。
いずれにしても「来月から人がほしい」というスピード感では間に合いません。計画的に進めることが、採用の成功につながります。
それぞれの流れにおける詳細と事業者がやること
Step 1: 人財紹介会社・登録支援機関の選定
最初のステップは、人財紹介会社と登録支援機関を選ぶことです。紹介会社と登録支援機関を兼ねている機関もあれば、それぞれ別の機関に依頼する場合もあります。
事業者がやること:
- 受け入れたい人数・時期・希望する国籍を整理する
- 複数の紹介会社・登録支援機関から話を聞き、比較する
- 介護分野の実績、費用の透明性、母国語対応力を確認する
紹介会社を選ぶ際は、紹介手数料の相場(年収の20〜35%程度が目安)を事前に把握しておきましょう。登録支援機関の選び方については「登録支援機関の選び方|失敗しないための5つのチェックポイント」で詳しく解説しています。
Step 2: 外国人介護士の候補者の選考・採用面接
紹介会社から候補者の紹介を受け、書類選考と面接を行います。海外にいる候補者の場合は、オンライン面接が一般的です。
事業者がやること:
- 候補者の履歴書・資格証明(介護技能評価試験合格証、日本語能力試験合格証)を確認する
- 面接で、介護の仕事への意欲・日本語でのコミュニケーション力・性格を見る
- 施設の雰囲気や業務内容を候補者にも丁寧に伝える(ミスマッチ防止)
面接では、日本語の試験結果だけでなく、実際の会話力を確認することが大切です。「なぜ介護の仕事を選んだのか」「日本でどのくらい働きたいか」といった質問で、候補者の本音を引き出しましょう。
Step 3: 雇用契約の締結
採用を決めたら、雇用契約を締結します。特定技能の雇用契約には、法令で定められた必須記載事項があります。
事業者がやること:
- 特定技能雇用契約書を作成する(報酬額は日本人と同等以上であること)
- 労働条件を候補者の母国語でも説明する
- 1号特定技能外国人支援計画を策定する
支援計画は、義務的支援10項目をどのように実施するかを具体的に記載する書類です。登録支援機関に支援を全部委託する場合は、委託契約の締結もこの段階で行います。
Step 4: 在留資格の申請
雇用契約と支援計画が整ったら、出入国在留管理庁に在留資格認定証明書の交付申請を行います。
事業者がやること:
- 必要書類を準備する(雇用契約書、支援計画書、会社の登記事項証明書、決算報告書、施設の概要書など)
- 地方出入国在留管理局に申請する(2026年1月以降、行政書士が代行する事が必須になりました。)
- 審査結果を待つ
審査期間は1〜3ヶ月が目安です(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」)。書類に不備があると差し戻されるため、正確な書類作成が重要です。認定証明書が交付されたら、候補者に送付し、在外公館でビザを取得してもらいます。
Step 5: 入国準備
ビザが発給されたら、入国に向けた準備を進めます。住居と生活環境の整備は事業者側の大切な役割です。
事業者がやること:
- 住居を確保する(社宅、借り上げ住宅、不動産仲介。居室は1人あたり7.5平方メートル以上)
- 生活必需品(寝具、調理器具など)を用意する
- 携帯電話、銀行口座開設の手続き準備
- 施設内で受け入れ体制を整える(担当メンターの決定、既存スタッフへの説明)
住居の準備は見落とされがちですが、外国人介護士にとって「安心して帰れる場所」があるかどうかは、定着の土台です。入国前に住所が確定していないと、住民登録や社会保険の手続きにも影響します。
Step 6: 入国・配属
入国後は、空港への出迎えから始まります。
事業者がやること:
- 空港までの送迎を手配する(義務的支援の一つ)
- 住民登録、社会保険、年金の届出手続きに同行する
- 生活オリエンテーションを実施する(8時間以上、理解できる言語で)
- 施設内での顔合わせ・業務研修を行う
入国直後の1〜2週間は、外国人介護士が最も不安を感じる時期です。生活が始められる事前準備と業務の導入を丁寧に行い、「困ったときに相談できる人がいる」と感じてもらうことが大切です。受け入れ時の不安への対処法は「外国人介護士の受け入れが不安な施設長へ|よくある5つの不安と解決策」でも詳しく解説しています。
Step 7: 届出・定期報告
入職して終わりではありません。特定技能の受け入れ事業者には、随時届出と定期届出の義務があります。
事業者がやること:
- 特定技能外国人の受入れ開始や契約変更などに関する随時届出(事由発生後14日以内)
- 年1回の定期届出(受入れ・活動・支援実施状況)
- 3ヶ月ごとの定期面談の実施と記録
2025年第1四半期分までは旧様式で四半期ごとの定期届出がありましたが、現在は年1回の定期届出に変更されています**(特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類) | 出入国在留管理庁)。**届出を怠ると、受入れ機関としての適格性に影響し、次回以降の受け入れに支障が出る場合があります。登録支援機関に委託している場合は、届出対応を含めて支援してもらえるケースが一般的です。
「7つのステップを自社だけで進めるのは不安」という方は、お気軽にご相談ください。ASCareでは、人財の選定から入国準備、入職後の定着支援まで一気通貫でお手伝いしています。
よくある失敗・つまずきポイント

採用を進める中で、事業者がつまずきやすいポイントを3つ挙げます。
書類不備で申請が差し戻される
在留資格の申請書類は種類が多く、記載内容にも細かなルールがあります。特に多い不備は、雇用契約書の報酬額が「日本人と同等以上」であることの証明が不十分なケース、支援計画の記載が義務的支援10項目を網羅していないケースです。
差し戻されると1〜2ヶ月の遅れにつながります。行政書士や専門機関に書類作成を依頼するか、少なくとも事前のチェックを受けることを強く勧めます。
住居の手配が間に合わない
認定証明書の交付後、ビザ発給から入国までは2〜3週間しかないことがあります。この短期間で住居を契約し、家具を搬入し、ライフラインを開通させるのは想像以上に大変です。
対策としては、Step 4の申請中に住居の候補を絞っておくことです。認定証明書が出た段階で即契約に動けるよう、不動産業者との事前調整を進めておきましょう。
受け入れ体制が整わないまま配属してしまう
「入国日は決まっているのに、現場の準備ができていない」。既存スタッフへの説明がなく、メンターも決まっていない状態で外国人介護士が配属されると、双方にとって不幸な滑り出しになります。
入国の1ヶ月前には、施設内で以下の準備を完了させておくのが理想です。
- 担当メンターの決定と手当の設定
- 既存スタッフへの説明会(外国人スタッフが入ること、配置計画、協力してほしいこと)
- 業務マニュアルや申し送りのテンプレートの準備
- 緊急時対応フレーズの一覧作成
採用におけるスケジュール逆算のコツ
上記で述べたつまずきやすいポイントを踏まえて、スムーズに外国人介護士採用が進められるようにスケジュールを組むことが重要です。
入職希望日から逆算する
外国人介護士の採用は「入職してほしい日」から逆算してスケジュールを組むのが基本です。
たとえば、10月1日に入職してほしい場合の逆算例は以下のとおりです。
| 時期 | やること | 対応ステップ |
|---|---|---|
| 4月 | 紹介会社・登録支援機関を選定 | Step 1 |
| 5月 | 候補者の面接・雇用契約 | Step 2~3 |
| 5~7月 | 在留資格の申請・審査待ち | Step 4 |
| 8月 | ビザ発給・入国準備 | Step 5 |
| 9月 | 入国・生活セットアップ | Step 6 |
| 10月 | 配属・業務開始 | Step 7開始 |

海外からの採用の場合、最低でも6ヶ月前には動き始める必要があります。採用にかかる費用の計画も同時に進めましょう。費用の全体像は「特定技能「介護」の採用にかかる費用は?紹介料・支援費の相場を解説」で整理しています。
余裕を持った計画が定着率にもつながる
急いで採用を進めると、書類不備による差し戻し、住居の準備不足、受け入れ体制の未整備といったリスクが高まります。そしてこれらの「準備不足」は、外国人財の不安や不満につながり、早期離職の原因になりかねません。
採用は「急いで人を入れる」ことが目的ではなく、「安心して働き続けてもらう」ための第一歩です。余裕を持ったスケジュールが、結果的に定着率の向上にもつながります。
まとめ
外国人介護士の採用フローを7つのステップで整理しました。
- 全体の所要期間は、海外からの採用で4〜6ヶ月が目安。入職希望日から逆算してスケジュールを組むことが大切です
- 最初のステップは紹介会社・登録支援機関の選定。ここで信頼できるパートナーを見つけることが、後工程すべてに影響します
- 在留資格の申請は審査に1〜3ヶ月かかるため、書類不備を防ぐことが遅延防止のカギです
- 住居の手配と受け入れ体制の準備は、入国前から計画的に進めておく必要があります
- 入職後の届出・定期面談は義務です。登録支援機関に委託すれば事務負担を軽減できます
手続きが多く複雑に見えますが、信頼できるパートナーと一緒に進めれば、一つひとつは着実にクリアできます。計画的な準備の先に、外国人財と共に歩む安心の介護現場があります。
参考リンク
- 出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
- (特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類) | 出入国在留管理庁)
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