「インドネシア人の介護士って、どんな人が多いんだろう」「イスラム教への配慮って大変なのでは…」
特定技能「介護」での外国人財受け入れを検討するとき、国籍による違いが気になる方は少なくありません。インドネシアは、EPA(経済連携協定)の時代から日本の介護現場に人財を送り出してきた歴史があり、介護分野では最も受け入れ実績の長い国の一つです。
この記事では、インドネシアの基本情報から、介護士として働くインドネシア人の特徴、イスラム文化への配慮、受け入れ時のポイントまでを整理しました。特定技能「介護」の制度そのものについては「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」をご覧ください。
インドネシアの基本情報と介護人財の背景
インドネシアはどんな国か

インドネシアは東南アジアに位置する島国で、約1万7,000の島々からなります。人口は約2億8,500万人(2025年時点)で世界第4位の規模です(日本貿易振興機構(インドネシア概況・基本統計))。平均年齢は約30歳と若く、豊富な労働力を持つ国として知られています。
公用語はインドネシア語で、約300の民族が暮らす多民族国家です。宗教はイスラム教が約87%を占めますが、国教ではなく、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教、儒教も公的に認められています。多様な文化が共存する社会の中で育った人が多く、異なる文化への適応力が高い傾向があります。
なぜインドネシアからの介護人財が多いのか|特定技能「介護」国籍別の在留者数最多
インドネシアは、2008年のEPA発効以降、日本への介護福祉士候補者の送り出しを続けています。EPA経由の介護福祉士候補者の累計受け入れ数は約3,700人に達しており(JICWELS「2026年度来日EPA介護福祉士候補者受入れについて」)、3カ国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)の中でも最も早くから受け入れが始まった国です。
特定技能「介護」でも、インドネシアは国籍別の在留者数で最多です。出入国在留管理庁の令和7年6月末データでは、特定技能1号「介護」54,916人のうち、インドネシア国籍は16,249人を占めています(出入国在留管理庁「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数(令和7年6月末現在)」)。
EPAで培われたノウハウが特定技能にも引き継がれ、インドネシア国内の試験実施会場は他国に比べても多く試験実施体制も整っていることが、人数の多さにつながっています(プロメトリック公式サイト 日本国外の試験会場)。制度ごとの違いについては「EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較」で詳しく解説しています。
インドネシア人介護士によく見られる特徴
コミュニケーションスタイルと強み
インドネシア人介護士を受け入れた施設からよく聞かれるのは、「穏やかで協調性がある」「ご利用者に対して丁寧に接する」という声です。もちろん個人差はありますが、年長者を敬う文化が根づいているインドネシアでは、高齢者への接し方に自然な敬意が見られることが多いと感じる施設は少なくありません。
多民族国家で育った背景から、異なる考え方や習慣を持つ人と共存することに慣れている傾向もあります。日本の介護現場では、ご利用者一人ひとりの個性に合わせた対応が求められますが、こうした柔軟性は現場で大きな強みになります。
一方で、「はっきり断るのが苦手」「困っていても一人で抱え込みやすい」と感じる施設もあります。定期的な面談や「困ったことがあれば遠慮なく言ってほしい」と声をかける習慣が、信頼関係を築くうえで大切です。
日本語習得の傾向と特定技能「介護」入職後の継続的な学習
インドネシア語はローマ字表記で、発音が比較的規則的です。日本語のひらがな・カタカナの習得には一定の時間がかかりますが、発音に関しては日本語との相性が良いといわれています。母音が「ア・イ・ウ・エ・オ」に近いため、日本語の発音が聞き取りやすいと感じるご利用者も多いようです。
特定技能「介護」の取得にはJFT-BasicまたはJLPT N4以上に加え、介護日本語評価試験の合格が必要です。入職時点でN4レベル以上の日本語力は保証されていますが、介護記録の記述や申し送りなど、より高度な日本語力が求められる場面では、入職後の継続学習が欠かせません。外国人介護士のコミュニケーションの実態と工夫については「「日本語が通じない」は誤解?外国人介護士とのコミュニケーション実態」も参考にしてください。
インドネシア人への文化的・日常的な配慮|礼拝・ハラール食・ラマダン
インドネシア人介護士を受け入れる際、最も気になるポイントの一つがイスラム文化への対応ではないでしょうか。必要な配慮は限定的で、過度に構える必要はありません。

日常的に必要な配慮
礼拝(サラート)
イスラム教徒は1日5回の礼拝を行います。ただし時間は厳密に固定されているわけではなく、ある程度の幅があります。1回あたり5〜10分程度で、休憩時間や業務の合間に行えるよう、小さなスペースを確保すれば対応できます。多くの施設では更衣室や空き部屋を礼拝スペースとして提供しています。仕事中は礼拝せず、出勤前や退社後にまとめて礼拝することができる場合もあります。
ハラール食
イスラム教では豚肉とアルコールが禁じられています。食事の提供時に豚肉を避ける、調理器具を分けるなどの配慮が基本です。最近はハラール対応の食材も入手しやすくなっており、自炊する人財がほとんどのため、施設側の負担は想像ほど大きくありません。
ラマダン(断食月)
年に1回、約1ヶ月間の断食期間があります。日の出から日没まで飲食を控えますが、体調管理は本人が行います。シフトの調整や水分補給のタイミングについて事前に話し合っておけば、業務に大きな影響が出ることはまれです。
配慮は「特別扱い」ではない
宗教上の配慮は「特別扱い」ではなく、多様な背景を持つ仲間と一緒に働くうえでの環境整備です。受け入れ前に本人と話し合い、何が必要で何が不要かを確認しておくことが大切です。イスラム教徒の中にも信仰の度合いはさまざまで、全員が同じ配慮を必要とするわけではありません。
ASCareでは、インドネシアをはじめミャンマー・ベトナムの3カ国から人財を受け入れています。現地法人を持ち、それぞれの文化や宗教的背景を理解した上で教育・マッチングを行う体制を整えています。「どこまで配慮すればいいかわからない」という段階から、安心してご相談いただけます。
「イスラム文化への配慮について詳しく知りたい」「受け入れ体制の相談がしたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
インドネシア人介護士を受け入れるときに気をつけること

受け入れ前に準備しておくこと
インドネシア人に限らず、外国人介護士の受け入れでは事前準備が定着のカギを握ります。インドネシアからの受け入れでは、以下の点を事前に確認しておくとスムーズです。
- 宗教上の配慮事項の確認: 礼拝スペース、食事、ラマダン期間中の対応について、本人と事前にすり合わせる
- 既存スタッフへの説明: 「なぜ礼拝の時間が必要なのか」「ハラールとは何か」を事前に共有し、理解を促す
- 生活環境の整備: 住居の確保、ハラール食品が購入できる店舗の情報、モスクの所在地などを事前に調べておき、本人に共有しておく
これらは大がかりな投資ではなく、「知っておく」「伝えておく」レベルの準備です。
入職後の定着支援のポイント
入職後に最も大切なのは、孤立させないことです。言葉の壁に加え、宗教や食文化の違いから疎外感を覚えやすい場面があります。
- 定期面談の実施: 業務の悩みだけでなく、生活面の困りごとも拾い上げる場を設ける
- 同国出身者との交流機会: 可能であれば、同じ地域で働くインドネシア人同士の交流の場を作る
- 母語で相談できる窓口: 日本語では伝えきれない悩みを母語で話せる環境が、安心感につながる
ASCareでは、生活・仕事・学習・感情の4つの軸で定着を支援しています。支援スタッフには介護現場の経験者を配置し、現場を理解した上で寄り添う体制を整えています。ミャンマー人介護士の特徴や受け入れのポイントとも比較したい方は「ミャンマー人介護士が選ばれる理由|性格・文化・日本語力の実態」もあわせてご覧ください。
まとめ
インドネシア人介護士の受け入れについて、文化・宗教・日本語力の観点から整理しました。
- インドネシアはEPA時代から日本の介護現場に人財を送り出してきた歴史があり、特定技能「介護」でも国籍別の在留者数は上位に位置しています
- 多民族国家で育った背景から、異文化への適応力が高い傾向があります。年長者を敬う文化が自然な接遇につながっていると感じる施設も多くあります
- イスラム文化への配慮は必要ですが、礼拝スペースの確保や食事への配慮など、限定的な対応で十分です。本人との事前の話し合いが何より大切です
- 定着のカギは、孤立させない環境づくり。定期面談、母語相談窓口、同国出身者との交流機会が有効です
国籍による特徴はあくまで「傾向」であり、一人ひとりの個性や経験は異なります。大切なのは、先入観ではなく目の前の人財と丁寧に向き合うことです。その姿勢が、信頼の土台になります。
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持ち、累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきました。インドネシア・ミャンマー・ベトナムの3カ国から、即戦力育成型の教育を経た人財を紹介しています。紹介料は無料です。