特定技能「介護」で来日する外国人財の中で、ミャンマー出身者の存在感は大きくなっています。出入国在留管理庁の令和7年6月末データでは、特定技能1号「介護」54,916人のうち、ミャンマー国籍は15,046人で、インドネシアに次ぐ規模です(出入国在留管理庁「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数(令和7年6月末現在)」)。
なぜミャンマー人介護士が選ばれているのか。この記事では、ミャンマーの文化的背景、介護士としての特徴、日本語習得の傾向、受け入れ時の注意点までを整理しました。特定技能「介護」の制度全体を知りたい方は「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」をご覧ください。
ミャンマーの基本情報と介護人財が急増する背景

ミャンマーはどんな国か
ミャンマーは東南アジアのインドシナ半島西部に位置し、タイ・中国・インド・ラオス・バングラデシュと国境を接しています。人口は約5,500万人(2026年現在)、国土面積は日本の約1.8倍です(外務省「ミャンマー基礎データ」)。
公用語はビルマ語で、国民の約85%が上座部仏教を信仰しています。仏教は日常生活に深く根づいており、寺院への参拝やお布施は日常的な行為です。年長者を敬い、困っている人を助けることが「徳を積む」行為として大切にされています。
民族は、人口の約7割を占めるビルマ族を中心に、135の民族が暮らす多民族国家です。
ミャンマーからの介護人財が増えている理由|ベトナムを上回る特定技能試験合格者の増加数
ミャンマーから日本への介護人財が急増している背景には、いくつかの要因があります。
まず、日本で働くことへの関心の高さです。2025年6月から2025年12月の間で、ミャンマー人の特定技能試験合格者の増加数は8883人に達しました。ミャンマー人の合格者数は2024年以降、年々増加傾向にあります。(特定技能制度運用状況)。
ミャンマーでは仏教の教えに基づき、高齢者や体の不自由な方を支えることが尊い行為とされています。そのため、介護職に対する心理的な抵抗が少なく、やりがいを感じながら働く人財が多い傾向があります。
加えて、後述する日本語との言語的な親和性が高いことも、介護分野での受け入れが進む理由の一つです。制度ごとの違いや他の国籍との比較については「EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較」で解説しています。
ミャンマー人介護士によく見られる特徴
敬老精神と仏教文化の影響
ミャンマー人介護士を受け入れた施設から多く聞かれるのは、「高齢者に対する接し方が自然で丁寧」という声です。ミャンマーでは家族の中で高齢者を敬い、世話をすることが当然の文化として根づいています。日本の介護現場が求める「ご利用者への敬意」と、ミャンマーの文化的な価値観は親和性が高いと感じる施設は少なくありません。
もちろん、個人差はあります。ただし、仏教が日常に浸透しているミャンマーでは、「人のために動くことは善いこと」という価値観が広く共有されており、介護の仕事に前向きに取り組む姿勢の背景になっていると考えられます。
日本も仏教文化を持つ国として、お盆や法事など仏教行事への理解が自然にあるため、宗教面での大きなすれ違いが起きにくいのも特徴です。インドネシアのようなイスラム文化圏と比べると、食事や礼拝に関する特別な配慮は基本的に不要です。
コミュニケーションスタイル
ミャンマー人は穏やかで真面目な性格の方が多い傾向があると、受け入れ施設からよく聞きます。指示されたことを丁寧にこなす姿勢が評価される一方、「自分から質問するのが苦手」「困っていても表に出しにくい」と感じる施設もあります。
この背景には、ミャンマーの文化において目上の人に対して控えめに振る舞うことが礼儀とされていることがあります。日本の介護現場では「わからないことがあれば聞いてほしい」という期待がありますが、最初のうちは自分から声を上げにくい場合もあります。
対策としては、「聞いてもいいんだよ」という雰囲気づくりと、定期的な声かけが有効です。慣れてくると自分から報告・連絡できるようになるケースがほとんどです。外国人介護士とのコミュニケーション全般については「「日本語が通じない」は誤解?外国人介護士とのコミュニケーション実態」で詳しく解説しています。
日本語習得の強み|語順が近いという言語的親和性
ミャンマー語と日本語の共通点

ミャンマー人の日本語習得が比較的速いといわれる最大の理由は、言語構造の類似性にあります。
ミャンマー語(ビルマ語)と日本語は、どちらも「主語+目的語+動詞」(SOV型)の語順を持っています。たとえば「私は(主語)ご飯を(目的語)食べます(動詞)」という語順がそのまま通用します。英語のように語順を大きく入れ替える必要がないため、文を組み立てる感覚をつかみやすいのです。
さらに、日本語の「を」「に」「で」に相当する助詞(後置詞)がミャンマー語にも存在し、文法構造の根本的な部分が似ています。敬語や丁寧語が発達している点も共通しており、日本語の敬語体系を「なぜ必要なのか」という感覚レベルで理解しやすい傾向があります。
特定技能「介護」取得後の介護現場での日本語力の伸び方
特定技能「介護」の取得にはJFT-BasicまたはJLPT N4以上と介護日本語評価試験の合格が必要です。入職時点でN4レベルの人財は、日常的な声かけや基本的な業務指示の理解は問題ありません。
ミャンマー人にとっては言語的な親和性が高いため、入職後の日本語の伸びが比較的速い傾向があります。N4で入職し、1〜2年後にN3に到達するケースも珍しくありません。N3レベルになると、申し送りや介護記録の記述にも対応でき、現場での活躍の幅が広がります。
ASCareでは、即戦力育成型の教育プログラムにより、来日前に介護の基礎技術と日本語をしっかり学んでから入職する仕組みを整えています。入職後も日本語学習の継続支援を行い、介護福祉士の国家資格取得まで見据えた学習計画を立てています。
「ミャンマーからの受け入れについて詳しく知りたい」「どの国の人財が自施設に合うか相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきた知見をもとに貴施設に合った方法を一緒に考えます。
ミャンマー人介護士を受け入れるときの注意点
受け入れ前に知っておくこと
ミャンマー人介護士を受け入れる際に、押さえておきたい点を3つご紹介します。
①食文化の違い
ミャンマー料理は油を多く使う特徴がありますが、宗教上の食事制限はインドネシアほど厳格ではありません。ただし、仏教徒の中には肉食を控える人もいるため、本人に確認しておくと安心です。
②祝日・行事への配慮
ミャンマーの正月にあたる「ティンジャン(水かけ祭り)」は4月に行われます。この時期に帰国を希望する人財もいるため、シフトの調整について事前に話し合っておくとよいでしょう。
③コミュニケーション上の注意
前述のとおり、控えめなコミュニケーションスタイルの人が多い傾向があります。「大丈夫?」と聞くと「大丈夫です」と答えてしまう場面もあるため、具体的な質問(「何か困っていることはありますか?」「この作業でわからないことはありますか?」)を投げかけることが大切です。

定着支援で大切にしたいこと
ミャンマー人介護士の定着には、職場と生活の両面での支援が重要です。
- 住居や生活の立ち上げ支援: 銀行口座開設、行政手続き、日用品の買い物など、来日直後のサポートが安心感を生みます
- 同国出身者とのネットワーク: ミャンマー人コミュニティとの接点があると、情報交換や精神的な支えになります
- キャリアの見通しを共有する: 「何年後に何ができるようになるか」「介護福祉士を目指せるか」といった将来像を一緒に考えることで、モチベーションの維持につながります
ASCareでは、生活・仕事・学習・感情の4つの軸で定着を支援しています。現場を知る支援スタッフが寄り添い、外国人財が安心して働き続けられる環境づくりをお手伝いしています。インドネシア人介護士の特徴と比較したい方は「インドネシア人介護士の特徴と受け入れのコツ」もあわせてご覧ください。
まとめ
ミャンマー人介護士が選ばれる理由と、受け入れ時のポイントを整理しました。
- ミャンマーからの特定技能人財は急増しており、試験合格者数は国籍別でトップクラスです。介護分野でも存在感を増しています
- 仏教文化に根ざした敬老精神があり、高齢者への自然な敬意を持つ傾向があります。日本の介護現場の価値観との親和性が高いと感じる施設が多くあります
- 日本語との言語的な共通点(SOV語順、助詞の存在、敬語の発達)があり、日本語習得が比較的速い傾向が報告されています
- 控えめなコミュニケーションスタイルに対しては、具体的な質問と定期的な声かけが有効です
- 宗教面での特別な配慮は基本的に不要で、仏教文化の共通点が日常のすれ違いを減らしています
国籍による特徴は「傾向」にすぎず、大切なのは一人ひとりの人財と向き合うことです。丁寧な準備と継続的な支援の積み重ねが、安心して働ける職場をつくります。
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持ち、累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきました。ミャンマー・インドネシア・ベトナムの3カ国から、即戦力育成型の教育を経た人財を紹介しています。紹介料は無料です。