求人を出しても応募が来ない。面接まで進んでも辞退される。やっと採用できたと思ったら、半年で退職してしまった。介護現場の人手不足は、経営者にとって最も切実な課題の一つです。
この記事では、介護人材不足の現状を最新データで整理し、事業者が取り得る5つの解決策を俯瞰的に紹介します。そのうえで、解決策の一つである外国人介護士の受け入れについて、介護事業50年以上の現場から見えている具体的な変化をお伝えします。
介護現場での人手不足の現状と将来予測
2040年度には約57万人が不足する
厚生労働省が2024年7月に公表した推計によると、2040年度に必要な介護職員数は約272万人です。2022年度の介護職員数は約215万人ですので、このままのペースでは約57万人が不足する計算になります。厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

2026年度までは年間約6万3,000人のペースで増員が必要とされており、短期的にも予断を許さない状況です。厚生労働省 福祉人材確保専門委員会 資料
なぜ介護人材は集まらないのか
人手不足の原因は複合的ですが、主に次の3点に集約されます。
賃金水準の低さ:
介護職員の平均給与は全産業平均と比べて低い水準にあります。2026年度介護報酬改定で、介護分野の職員の処遇改善の措置が講じられたものの、他産業との差は依然として大きいのが現状です。
身体的・精神的な負担:
夜勤、身体介助、認知症ケアなど、心身の負担が大きい仕事です。特に腰痛は介護職の職業病とも言われ、離職の一因になっています。
少子化による労働人口の減少:
そもそも働き手の総数が減っています。介護だけでなく、飲食・建設・運輸など多くの業種が人材の奪い合いをしている状況です。介護業界だけの努力では限界がある構造的な問題といえます。
介護現場における人手不足の5つの解決策
人手不足に対する解決策は一つではありません。国の施策から事業所レベルの取り組みまで、5つの柱で整理します。

① 処遇改善
最も直接的な対策です。2026年度の介護報酬改定では、処遇改善加算の対象について、介護職員のみから介護従事者に拡大されました。また処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に処遇改善加算が新設されました。厚生労働省 令和8年度介護報酬改定について
対象者の拡大に伴い、経営者としては賃金体系・配分ルールの見直しやキャリアパス要件の構築が求められます。
② ICT・介護ロボットの活用
介護記録のデジタル化、見守りセンサー、移乗支援ロボットなど、テクノロジーの活用で業務の効率化を図る取り組みです。
記録業務にかかる時間を削減できれば、その分をご利用者と向き合う時間に充てられます。導入コストはかかるものの、ICT導入に対する補助金制度を設けている自治体もあります。「人を増やす」のではなく「今いる人の負担を減らす」発想です。
③ シニア・主婦層の活用
介護は若い世代だけが担う仕事ではありません。元気なシニア世代や、子育てが一段落した主婦層が介護現場の戦力として活躍するケースが増えています。
短時間勤務や週3日勤務など、柔軟な働き方を用意することがカギです。フルタイムの正職員と同じ働き方を求めるのではなく、「できる時間に、できる業務を」という発想で人員を確保します。
④ 外国人介護士の受け入れ
特定技能「介護」の在留者数は2025年6月末時点で5万4,916人となっており、外国人介護士は介護現場にとって身近な存在になりつつあります。出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」EPA、技能実習(2027年4月以降は育成就労制度へ移行予定)、特定技能、在留資格「介護」の4つのルートがあり、施設の状況に応じた選択が可能です。
4つの在留資格の違いやそれぞれの特徴はEPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較で詳しく解説しています。制度の基本を押さえたい方は特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説もご覧ください。
外国人介護士の受け入れは、単に頭数を揃えるための手段ではありません。教育を受けた人財が現場に入ることで、チームの多様性が広がり、新たな視点が生まれます。この点は次章で詳しくお伝えします。
⑤ 離職防止・定着支援
採用と同じくらい重要なのが、今いる職員を辞めさせないことです。介護職の離職理由の上位は「人間関係」「職場の方針への不満」「結婚・出産・育児」です。厚生労働省「介護人材確保の現状について」
定期的な面談、メンター制度、キャリアアップの仕組みづくり。地道な取り組みですが、離職率を1ポイント下げることが、新規採用1人分に相当することもあります。日本人職員の定着率向上については外国人介護士の定着率を上げる方法|離職を防ぐ5つの取り組みで紹介している施策の多くが、日本人職員にも応用できます。
外国人介護士の受け入れで現場はどう変わるか
介護現場で起きている変化
5つの解決策の中でも、外国人介護士の受け入れは現場に具体的な変化をもたらす取り組みです。3,000人以上の受け入れ実績から見えてきた変化を紹介します。
シフトの安定:
慢性的に人が足りなかったシフトに余裕が生まれます。夜勤の負担が特定の職員に集中していた施設では、シフトのバランスが改善し、日本人職員の離職防止にもつながっています。
ご利用者との新しい関係:
外国人介護士の丁寧な対応や明るい人柄が、ご利用者の生活に良い変化をもたらすケースがあります。厚生労働省のガイドブックでは、EPA介護職員や在留資格「介護」を持つ外国人などを含む外国人介護職員について、介護サービスの質を「満足」と評価した利用者・家族は65.1%、「満足できない」は2.1%でした。厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」
職場全体の意識変化:
外国人介護士が入ることで、業務マニュアルの見直しや「やさしい日本語」の導入が進み、結果的に職場全体のコミュニケーションが改善されたという声もあります。外国人介護士の受け入れが、職場改善のきっかけになるのです。

受け入れ前に知っておくべきこと
外国人介護士の受け入れには、費用、手続き、体制整備が伴います。「すぐに人が来る」わけではなく、採用から入国まで通常4〜6ヶ月かかります。計画的に動くことが欠かせません。
受け入れにかかる費用の内訳は特定技能「介護」の採用にかかる費用は?紹介料・支援費の相場を解説で整理しています。受け入れに対する不安がある方は外国人介護士の受け入れが不安な施設長へ|5つの不安と解決策もあわせてご覧ください。
「外国人介護士の受け入れに興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」。ASCareでは、そうした段階からでもご相談いただけます。介護現場を知るスタッフが、貴施設の状況に合わせてお伝えします。
5つの解決策を組み合わせることが重要
1つの手段だけに頼らない
ここまで5つの解決策を紹介してきましたが、どれか1つだけで人材不足が解消するわけではありません。大切なのは、自施設の状況に合わせて複数の施策を組み合わせることです。
たとえば、処遇改善で日本人職員の離職を防ぎつつ、外国人介護士で不足分を補う。ICTで業務効率化を進め、限られた人員でもケアの質を維持する。短時間勤務のシニアスタッフを活用しながら、外国人介護士には夜勤を含むフルタイムで活躍してもらう。このように、複数の施策が互いを補完する形が理想です。
経営判断としての外国人介護士活用
外国人介護士の受け入れは、現場の判断だけでは進みません。経営者が「中長期の人材戦略」として位置づけ、必要な投資と体制整備に踏み切ることで初めて機能します。
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持ち、自ら介護現場を運営しながら、累計3,000人以上の外国人介護士を受け入れてきました。紹介会社ではなく介護事業者だからこそ、「経営者の目線」と「現場の実態」の両方を理解した提案ができます。教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で対応し、紹介料は無料です。
まとめ
介護人材不足は、1つの施策で解決する問題ではありません。5つの解決策を組み合わせ、中長期の視点で取り組むことが求められます。
- 2040年度には約57万人の介護職員が不足 ― 短期的にも年間6万人超の増員が必要な状況
- 5つの解決策: 処遇改善、ICT活用、シニア・主婦層の活用、外国人介護士の受け入れ、離職防止
- 外国人介護士はシフト安定・ご利用者満足・職場改善に貢献 ― 厚労省ガイドブックでは、外国人介護職員全体への満足評価が65.1%
- 採用から入国まで4〜6ヶ月 ― 計画的な準備が欠かせない
- 複数施策の組み合わせが重要 ― 1つに頼らず、自施設に合った戦略を立てる
人手不足の解消に近道はありません。しかし、確かな計画と信頼できるパートナーがあれば、道筋は見えてきます。まずは現状の課題を整理し、できるところから一歩を踏み出す。その積み重ねが、10年先の現場を支える力になります。
参考リンク
- 出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況」
- 厚生労働省 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
- 厚生労働省「介護人材確保の現状について」
- 厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」
- 厚生労働省 福祉人材確保専門委員会 資料(2025年5月)
ASCareは介護事業50年以上の歴史を持ち、累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきました。紹介料は無料です。教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で寄り添います。