特定技能「介護」で外国人財を受け入れるためには、候補者が所定の試験に合格していることが前提になります。「どんな試験があるのか」「合格率はどれくらいか」「試験に受かったあと、何をすればいいのか」。人事担当者や採用を検討している事業者にとって、こうした疑問は避けて通れません。
この記事では、特定技能「介護」に必要な試験の種類と内容、合格率の推移、受験の流れ、そして合格後の就労までのステップを整理しました。特定技能「介護」の制度全体については「特定技能「介護」とは?制度の仕組みと受け入れ条件をわかりやすく解説」をご覧ください。
特定技能「介護」に必要な3つの試験

特定技能「介護」の在留資格を取得するには、以下の3つの試験に合格する必要があります。
介護技能評価試験
介護の知識と技術を問う試験です。厚生労働省が試験問題を作成し、試験運営はプロメトリック株式会社が担っています。試験は学科試験と実技試験(事例問題)で構成されます。
介護日本語評価試験
介護現場で必要となる日本語力を測る試験です。介護の専門用語や、現場での声かけ、記録文書の読み取りなど、介護に特化した日本語の理解力が問われます。
日本語能力試験(JLPT N4以上)またはJFT-Basic
日常的な日本語力を確認する試験です。日本語能力試験(JLPT)のN4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のいずれかに合格する必要があります。N4は「基本的な日本語を理解できる」レベルです。
各試験の内容・出題範囲・合格基準
特定技能「介護」の取得に必要な3つの試験の内容・出題範囲・合格率について確認しておきましょう。
日本語能力試験の概要は以下の通りです。
- JLPT N4: 年2回(7月・12月)、国内外で実施。基本的な日本語を理解できるレベル
- JFT-Basic: 国内外で随時実施。日常生活に必要な日本語力を測るCBT方式(コンピュータで受験)の試験
介護技能評価試験の出題範囲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 60分 |
| 問題数 | 全45問(学科40問 + 実技5問) |
| 出題範囲 | 介護の基本(10問)、こころとからだのしくみ(6問)、コミュニケーション技術(4問)、生活支援技術(20問)、実技(5問) |
| 合格基準 | 総得点の60%以上 |
| 受験言語 | 日本語を含む12言語から選択可能 |
学科試験では介護の基礎知識を、実技試験では事例をもとにした判断力を問います。実技は実際に体を動かすのではなく、写真やイラストを使った事例問題に文章で解答する形式です。
介護日本語評価試験の出題範囲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 30分 |
| 問題数 | 全15問 |
| 出題範囲 | 介護のことば(5問)、介護の会話・声かけ(5問)、介護の文書(5問) |
| 合格基準 | 総得点の80%以上 |
| 出題言語 | 指示文のみ各国語、問題文と選択肢は日本語 |
合格基準が80%以上と高めに設定されている点が特徴です。介護現場で日本語を使って安全にケアを行うために、一定水準の日本語理解力が求められています。
日本語試験の概要
日本語能力試験(JLPT)N4、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のどちらかに合格すれば要件を満たします。
- JLPT N4: 年2回(7月・12月)、国内外で実施。基本的な日本語を理解できるレベル
- JFT-Basic: 国内外で随時実施。日常生活に必要な日本語力を測るCBT方式(コンピュータで受験)の試験
合格率の推移と試験の難易度
介護技能評価試験・介護日本語評価試験の合格率
介護技能評価試験と介護日本語評価試験の合格率は、おおむね60〜70%台で推移しています(厚生労働省「介護分野における特定技能試験結果について」)。
国内試験は毎月1,000人規模の受験者がおり、合格率は65〜72%程度です。海外試験も各国で定期的に実施されており、国によって合格率にばらつきがあるものの、全体としては半数以上が合格する水準です。
合格率から見る試験の難易度
合格率60〜70%台という数字は、しっかり準備をすれば合格できるレベルであることを示しています。介護日本語評価試験は合格基準が80%以上と高いため、介護現場の用語を事前に学んでおくことが大切です。
厚生労働省のウェブサイトでは、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の学習用テキストが複数言語で無料公開されています。そのため、受験者がこれらのテキストを自主学習に活用することができます。
受験の流れ ― 申込から合格まで
受験資格と申込方法
受験にあたって、学歴や職歴などの資格要件は特にありません。ただし、在留資格を持たない海外在住者が日本国内で受験する場合は、短期滞在ビザなどで入国した上での受験が必要です。
申込の流れは以下のとおりです。
- プロメトリックIDの取得: プロメトリック株式会社の予約サイトでIDを登録します
- 試験の予約: 受験する国を選択し、試験科目・日時・会場を選んで予約します
- 顔写真と受験者情報の登録: 身分証明書と一致する情報を登録します
- 受験料の支払い: オンラインで決済を完了します
- 受験当日: 指定の試験会場でCBT方式(コンピュータ)により受験します
介護技能評価試験と介護日本語評価試験は、同日に続けて受験することができます。
試験会場と実施スケジュール
国内では47都道府県でおおむね毎月実施されています。海外では、フィリピン、カンボジア、ミャンマー、モンゴル、ネパール、インドネシア、タイ、インド、スリランカ、ウズベキスタン、バングラデシュなど11カ国以上で受験できます(プロメトリック株式会社 特定技能試験ページ)。
「候補者の試験対策や受験スケジュールについて相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。ASCareでは即戦力育成型の教育プログラムの中で試験対策も支援しています。
特定技能「介護」の試験が免除されるケース

以下の条件を満たす外国人は、介護技能評価試験・介護日本語評価試験・日本語試験のすべてが免除されます。
技能実習2号修了者
介護分野の技能実習2号を良好に修了した方は、3つの試験がすべて免除されます。技能実習で3年間の実務経験を積んでいるため、試験なしで特定技能「介護」に移行できる仕組みです。
その他の免除対象
- 介護福祉士養成施設の修了者: 日本の介護福祉士養成施設(専門学校等)を卒業した方は試験免除です
- EPA介護福祉士候補者(4年間の在留期間満了者): EPA(経済連携協定)で来日し、4年間の在留期間を満了した方も免除の対象です
技能実習から特定技能への移行を含め、在留資格の種類や違いについては「EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較」で詳しく解説しています。
試験合格から就労までのステップ

特定技能「介護」取得に必要な手続き
試験に合格しただけでは、すぐに介護現場で働けるわけではありません。合格後に以下の手続きが必要です。
- 受入事業所との雇用契約の締結: 給与や労働条件を定めた雇用契約を結びます
- 1号特定技能外国人支援計画の策定: 生活支援や日本語学習支援など、受入後の支援計画を作成します
- 在留資格認定証明書の交付申請: 地方出入国在留管理局に申請し、審査を受けます
- ビザの発給・入国: 審査を通過すれば、在外公館でビザが発給され入国できます
- 届出の提出: 受入事業所は受入れ開始の届出などを提出します
すでに日本に在留している方(技能実習からの移行など)は、在留資格変更許可申請を行う形になります。
入職までの期間の目安
海外から新規で受け入れる場合、試験の合格から入職までおおよそ4〜6ヶ月が目安です。在留資格の審査に1〜3ヶ月、ビザ発給から入国までの手続きでさらに数週間かかるためです。
ASCareでは、来日前の教育期間に介護技術と日本語を徹底的に学ぶ即戦力育成型のプログラムを採用しています。試験対策も組み込まれているため、候補者は試験合格と介護スキルの習得を並行して進めることができます。教育から紹介、入職後の定着支援まで一気通貫で対応するため、事業者側が個別に試験対策を手配する手間がかかりません。
まとめ
特定技能「介護」の試験について、要点を整理します。
- 必要な試験は3つ: 介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語試験(JLPT N4以上 or JFT-Basic)
- 介護技能評価試験: 全45問・60分。合格基準は総得点の60%以上。受験言語は12言語から選択可能
- 介護日本語評価試験: 全15問・30分。合格基準は総得点の80%以上。介護現場の日本語力を測定
- 合格率は60〜70%台: しっかり準備をすれば合格できる水準です
- 試験免除: 技能実習2号修了者、介護福祉士養成施設修了者、EPA候補者は全試験免除
- 合格から入職まで: 海外からの新規受入れは4〜6ヶ月が目安
試験は外国人財が介護現場で安全に働くための基礎力を確認する仕組みです。合格率が示すとおり、適切な準備をすれば越えられるハードルです。大切なのは、試験合格をゴールにするのではなく、入職後の成長と定着を見据えて計画を立てること。信頼できるパートナーと一緒に、候補者の力を最大限に引き出す体制を整えていきましょう。
参考リンク
ASCareは累計3,000人以上の外国人財を受け入れてきました。即戦力育成型の来日前教育で試験対策も含めて丁寧に支援します。紹介料は無料です。