「2027年4月から技能実習が育成就労に変わると聞くけれど、介護の現場では何が変わるのだろう…?」
そう感じている施設は、少なくありません。制度の名前は知っていても、日本語要件や転籍のルールまで把握できている方は、まだ多くないのが実情です。
この記事では、育成就労制度の基本と介護分野ならではの要件、そして施設が今から整えておきたい準備を、厚生労働省・出入国在留管理庁の資料に基づいて整理します。なお、本記事は2026年10月時点の公表資料をもとにしています。運用の細部は今後も更新される可能性があるため、受け入れの前には最新の資料もあわせてご確認ください。
育成就労制度とは?技能実習との違いを整理

制度の基本(施行時期・目的・在留期間)
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を持つ人財を育成し、確保するための制度です。施行は令和9年(2027年)4月1日の予定です。厚生労働省「介護分野における育成就労制度について」
技能実習が人財育成を通じた国際貢献を目的としていたのに対し、育成就労は国内の人手不足分野における人財の育成と確保を目的に据えています。ここが最も大きな転換点です。
技能実習との違い
主な違いを表にまとめます。
| 項目 | 従来の技能実習 | 新たな育成就労 |
|---|---|---|
| 目的 |
建前と実態の乖離 国際貢献(発展途上国への技術移転) |
実態に合わせた制度化 人財の育成と「確保」 |
| 在留期間 |
最長 5年 (1号:1年/2号:2年/3号:2年) |
原則 3年 (※特定技能1号への円滑な移行を前提) |
| 転籍(転職) |
原則不可 ※人権侵害等のやむを得ない事情のみ |
本人の意向による転籍が可能 ※一定の要件(就労期間・試験合格・同一分野など)あり |
| 支援・監理 | 監理団体 |
監理支援機関 ※要件が厳格化され、中立性・指導力を強化 |
| 受入れの単位 | 職種・作業ごと |
産業分野ごと ※特定技能の「特定産業分野」と原則一致 |
対象分野は17分野です。特定技能の19分野から航空と自動車運送業を除き、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を加えた構成で、2026年1月23日の閣議決定により確定したとされています。介護はこの17分野に含まれています。
育成就労「介護」の要件|対象業務・日本語・受入れ人数

対象事業所と介護分野の固有要件
介護分野では、育成就労制度本体の要件に加えて、介護固有の要件を満たす必要があります。
受入れの対象は、介護等の業務が現に行われている事業所(介護福祉士国家試験の実務経験対象施設)です。さらに、事業所の開設から3年以上が経過している、同じ法人の他事業所の開設後3年が経過している、または同一法人によるサポート体制がある、のいずれかを満たす必要があります。(厚生労働省「介護分野の育成就労における固有要件について」)
また、介護分野で育成就労外国人を受け入れる法人は、育成就労計画の認定申請や在留諸申請の前に、「介護分野における特定技能・育成就労協議会」の構成員となり、入会証明書の発行を受ける必要があります。入会費・年会費は徴収されません。
日本語要件はどこまで求められるか
介護はご利用者の方とのコミュニケーションが安全に直結するため、日本語要件は他分野より高く設定されています。他分野では就労開始前にA1相当の試験合格または相当する講習の受講で足りますが、介護分野は段階ごとに次のとおりです。
| 時期 | 介護分野の日本語要件 |
|---|---|
| 入国前・1年目 入国時 |
A2(N4相当) 以上の試験合格
※JLPT(日本語能力試験)N4 または JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)の合格が必須。 |
| 実務・育成中 2年目以降 |
A2(N4相当) + 日本語学習プラン
・受入れ施設が作成する計画に基づき、計画的な日本語学習を継続。 |
| 修了・移行時 育成就労終了時 |
A2(N4相当) + 介護特定技能評価試験(日本語)
※特定技能1号へスムーズに移行するために、基礎的な日本語能力に加え、専門用語・介護現場のコミュニケーション力を測る「介護日本語評価試験」への合格が求められます。 |
A2(N4相当)の試験には、JFT-BasicやJLPTのN4などが含まれます。入国後の講習も定められており、日本語科目は240時間以上(B1以上は80時間)、技能科目は42時間以上とされています。
受入れ人数枠と訪問系サービスの扱い
受入れ人数には、事業所ごとの常勤介護職員(育成就労外国人を除く)の人数に応じた上限があり、育成就労外国人の総数が常勤介護職員の総数を超えることはできません。また、育成就労指導員は外国人5名につき1名以上を選任し、そのうち1名以上は介護福祉士等とされています。
訪問介護については、介護職員初任者研修課程等を修了し、実務経験を持つ育成就労外国人に限って従事させることができます。その際は、基本事項の研修や責任者の同行、ハラスメント防止の相談窓口の設置などが求められます。特定技能での訪問系の扱いは、(特定技能の訪問介護が解禁|要件と受け入れ時の注意点)で詳しく解説しています。
育成就労から介護福祉士までのキャリアパス

3年間の育成から特定技能1号へ
育成就労は、3年かけて特定技能1号の水準まで育てる制度です。ただし、特定技能1号への移行は自動ではありません。技能と日本語の試験に合格することが要件です。「移行を見据えて育てる制度」と捉えると、実態に近くなります。
介護は特定技能2号の対象外|在留資格「介護」という道
見落とされやすい点ですが、介護分野は、専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象になっていません。
そのため介護分野では、育成就労から特定技能1号へ進み、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移る流れが長期就労の軸になります。この在留資格「介護」には、在留期間の上限がありません。介護福祉士の取得を計画的に支えることが、長く活躍してもらうための鍵です。
現在の技能実習生はどうなる?
制度が変わっても、すでに受け入れている技能実習生が急に影響を受けるわけではありません。
施行日(2027年4月1日)より前に認定を受けた計画に基づき、施行日時点で実習中の方は、施行日以降も「技能実習」の在留資格のまま実習を続けられます。施行日より前に計画認定と在留資格認定証明書の交付を受けた方は、2027年6月30日までに入国する必要があります。なお、技能実習生が「育成就労」へ在留資格を変更することはできません。(厚生労働省・出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」)
育成就労や特定技能のどちらが自施設に合うのかは、事業所の規模や育成体制によって変わります。ASCare(アスケア)では、介護業界で50年以上積み重ねてきた経験をもとに、現場の皆さまに寄り添いながら、外国人財の受け入れに関するご相談をうかがっています。制度の細かな疑問も、お気軽にお問い合わせください。
育成就労と特定技能、どちらで迎えるか

優劣ではなく、施設の状況に合うかどうかで考えることが大切です。
| 項目 | 育成就労 | 特定技能1号(介護) |
|---|---|---|
| 位置づけ |
育成重視 3年かけて計画的に育成する |
即戦力 即戦力として現場で就労する |
| 在留期間 | 原則 3年 | 通算 最長5年 |
| 技能・日本語 の確認 |
入国後の3年間で段階的に到達 ※就労開始時は基礎的な日本語(A2/N4相当) |
介護技能と介護日本語を採用前に確認 ※試験合格済みの人材を即時受入れ |
| 施設側の体制 |
・育成就労計画の認定 ・指導員(現場指導役)の選任 ・受入れ協議会への加入 など |
・支援計画に基づく支援の実施 ※登録支援機関への全部委託が可能 |
違いの本質は、特定技能が介護技能と介護日本語を採用前に確認するのに対し、育成就労は入国後の3年間で段階的に到達させる点にあります。
教育に時間をかけられる体制があり、数年かけて育てていきたい施設には育成就労が向いています。一方、早い段階から現場で力を発揮してほしい施設には、特定技能が合うことが多いでしょう。制度ごとの比較は(EPA・技能実習・特定技能・在留資格「介護」4つのルートを徹底比較)もご覧ください。
転籍できる時代に、選ばれる施設になるための準備

本人意向の転籍とは
技能実習では原則として認められなかった本人意向の転籍が、育成就労では一定の要件のもとで可能になります。要件には技能・日本語の試験合格や転籍先の適正性などがあり、転籍は同一の業務区分に限られます。
介護分野には、転籍を一定期間制限する仕組みがあります。転籍制限期間は分野ごとに1年から2年の範囲で設定され、介護分野は2年です。理由として、継続した利用者のいる対人支援サービスであることや、都市部への過度な流出を防ぐことが挙げられています。
1年を超える制限期間を設定する受入れ機関は、介護職員等処遇改善加算の取得等の要件を満たし、外国人ごとに「育成就労キャリア支援プラン」を作成することになっています。
つまり、2年間の育成の先に、外国人財が「この施設で働き続けたい」と思えるかどうかが問われる制度設計です。
今から整えたい3つの準備
1. 協議会入会から計画認定までの流れを把握する
協議会への入会申請、入会証明書の発行(令和8年8月時点で通常2〜3週間程度)、外国人育成就労機構への計画認定申請、地方出入国在留管理局への在留諸申請、という順に進みます。余裕をもって始めることが大切です。
2. 処遇改善加算の取得状況とキャリア支援プランを確認する
加算の取得状況を見直し、プランの作成方法を早めに検討しておきます。
3. 日本語学習と指導の体制を整える
指導員の選任に加え、2年目以降の日本語学習プランを支える体制が必要です。学習を現場全体で支える姿勢が、定着にもつながります。
入国前教育と定着支援という選択肢
こうした準備は、現場にとって決して軽いものではありません。だからこそ、入職前から入職後まで、一貫して支える仕組みが力になります。
ASCare(アスケア)は、介護業界で50年以上事業を行ってきた立場から、教育・紹介・定着支援を一気通貫で担う、即戦力育成型の人財紹介を行っています。入国前に介護の基礎と日本語を学んだ外国人財をお迎えでき、入職後は介護現場の経験を持つスタッフが、生活・仕事・学習・感情の4つの面から定着支援で寄り添います。グループ会社を含め3,000人以上の外国人財の受け入れに携わってきた経験からも、人財が現場に根づくかどうかは、入職前後の丁寧な積み重ねで決まると実感しています。紹介料は0円です。
どの制度で迎える場合でも、日本語と介護の基礎を入国前に整えることと、入職後に寄り添う支援が、定着の土台になります。定着率を高める具体策は、(外国人介護士の定着率を上げる方法|離職を防ぐ5つの取り組み)もご参照ください。
まとめ
- 育成就労制度は2027年4月1日に施行予定で、目的は「国際貢献」から「人財の育成と確保」へ変わります。
- 対象は17分野で、介護も含まれます。原則3年かけて特定技能1号の水準まで育てます。
- 介護分野は日本語要件が他分野より高く、入国時からA2(N4相当)が求められます。
- 介護分野の転籍制限期間は2年です。2年間の育成を通じて、選ばれる施設づくりが問われます。
- 介護は特定技能2号の対象外で、介護福祉士から在留資格「介護」へ進む道が長期就労の軸です。
外国人財の受け入れは、人手不足を補うためだけの取り組みではありません。異なる文化や価値観を尊重し合う職場づくりこそが、チームを強くし、現場の安心を持続させる力になります。共に、多様性が息づく介護の未来を育てていきましょう。
ASCareは、教育・紹介・定着支援を一気通貫で行い、入職前から入職後まで確かな支援でお手伝いしています。紹介料は0円です。まずは無料の資料請求から、貴施設の外国人財の受け入れを一緒に考えていきましょう。ご不明な点は、お気軽にご相談ください。
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